欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2015/2/4

企業情報

マーレ―米デルファイの熱システム部門買収か―

この記事の要約

独自動車部品4位メーカーのマーレ(シュツットガルト)が米競合デルファイ・オートモティブの熱システム部門買収を狙っているもようだ。空調システム事業を拡大して、競合に後れを取っている電子部品系の事業を強化する意向だ。経済紙『 […]

独自動車部品4位メーカーのマーレ(シュツットガルト)が米競合デルファイ・オートモティブの熱システム部門買収を狙っているもようだ。空調システム事業を拡大して、競合に後れを取っている電子部品系の事業を強化する意向だ。経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が1月30日付で報じた。両社ともコメントを控えているものの、マーレのハインツ・ユンカー社長は「成長率が高い熱管理の分野で様々な可能性を模索している」ことを明らかにした。

デルファイの熱システム部門は2013年売上高が15億ドル。世界の十数カ所に工場を持ち従業員数は約1万人に上る。メディア報道によると、同部門を10億ドルで売却し、売却益を15億ドル規模の自社株買いに充てる考えという。買収にはマーレのほか、デンソーと仏ヴァレオも関心を示しているもようだ。

マーレはシリンダーヘッドやカムシャフトなどエンジン部品の有力メーカーだが、近年は自動車メーカーの値下げ圧力が強く、HB紙によると、独工場の半分は営業赤字を計上している。主力顧客の独自動車各社は大幅なコスト削減方針を打ち出しており、事業の見通しは今後も厳しい。

このため同社はエンジン部品以外の事業分野を強化する方針で、空調システム大手の独ベーアを13年に買収した。デルファイの熱システム部門を買収できれば、空調システム事業を一段と強化できる。

マーレの取り組みの背景には、高い利益率を確保できる自動車部品の分野がシリンダーヘッドなどの機械系から電子部品系に移行していることがある。独最大手3社はすでに電子部品分野を強化しており、ボッシュは早い時期からセンサーや半導体を内製化。コンチネンタルも電機大手シーメンスの自動車部品部門VDOを07年に買収し、同分野のノウハウを一気に拡充した。ZFフリードリヒスハーフェンは米TRWを125億ドルで買収し、運転アシストシステム事業などを強化する。

マーレは遅れを取り戻すため、スロベニアの電動モーターメーカー、レトリカを昨年2億4,300万ユーロで買収した。次期社長には電子部品に強いボッシュから引き抜いたヴォルフヘニング・シャイダー氏が7月1日付で就任する。同次期社長は電子部品事業を大幅に拡大するとみられている。

企業情報
経済産業情報
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |