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2015/2/4

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ヴァイツゼッカー元大統領が死去

この記事の要約

ドイツのリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー元大統領が1月31日、ベルリンで死去した。94歳。大統領当時の1985年に連邦議会(下院)で行った演説は戦後ドイツの良心を示すものとして有名で、日本でも翻訳が出版された。 名門 […]

ドイツのリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー元大統領が1月31日、ベルリンで死去した。94歳。大統領当時の1985年に連邦議会(下院)で行った演説は戦後ドイツの良心を示すものとして有名で、日本でも翻訳が出版された。

名門貴族の出身。第2次世界大戦の始まりとなった1939年9月1日のポーランド侵攻に従軍し、翌日には同じく従軍していた兄が戦死した。戦後はニュルンベルク裁判で裁かれていた父エルンスト(外交官)の弁護を手伝った。中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)に54年に入党、西ベルリン市長などを経て84年に大統領に選出された。

戦後40年目に当たる85年5月8日の連邦議会演説では「過去に眼を閉ざす者は、未来に対しても盲目となる」と述べ、世界的な注目を浴びた。その3日前にはナチスの武装親衛隊員が葬られているビットブルク戦没者墓地をCDUのコール首相(当時)が米レーガン大統領(同)と共同訪問。ナチスによる犯罪の過去を相対化する試みだとの批判がわき起こっており、大統領の演説はこれを間接的に批判するものとなった。

同演説ではまた、ドイツの敗戦を「人間を侮蔑するナチスの暴力支配システムからの解放の日」と明言した。メルケル首相はこれを「我々ドイツ人の自己理解にとって決定的な発言だ」として、その死を悼んだ。

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