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2015/2/4

ゲシェフトフューラーの豆知識

ダミー防犯カメラの設置は労使共同決定権の対象か

この記事の要約

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は企業内の様々な案件を雇用主と共同で決定する権利を持つ。これは事業所体制法(BetrVG)87条に記されたルールである。では、録画機能のないダミー防犯カメラの設 […]

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は企業内の様々な案件を雇用主と共同で決定する権利を持つ。これは事業所体制法(BetrVG)87条に記されたルールである。では、録画機能のないダミー防犯カメラの設置も同委の共同決定権に含まれるのだろうか。この問題をめぐる係争でメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が昨年12月に決定(訴訟番号:3 TaBV 5/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は病院の事業所委員会が雇用主を相手取って起こしたもの。雇用主は病院の裏口にダミー防犯カメラを設置した。その際、事業所委の同意を得ていなかったため、同委は共同決定権の侵害に当たるとして提訴した。具体的には事業所内の秩序と被用者の行動に関する問題と、被用者の行動などを監視するための器具の利用は共同決定権の対象になるとしたBetrVG87条1項1と同項6の規定を根拠とした。

2審のメクレンブルク・フォーポマーン州労裁は原告の主張を退ける決定を下した。決定理由で裁判官は、被用者の行動などを監視するための器具の利用を共同働決定権の対象とする、BetrVG87条1項6を根拠とする原告の主張について、ダミー防犯カメラに監視機能はなく、同規定は適用されえないと指摘。事業所内の秩序と被用者の行動に関する問題は共同決定権の対象になるとする、BetrVG87条1項1を根拠とする主張についても、ダミー防犯カメラの設置場所は建物の外であり、建物内で勤務する被用者の行動・秩序に影響しないとの判断を示した。

最高裁への不服申し立ては認めなかった。

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