欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2015/9/30

経済産業情報

独墺間の電力取引を制限へ、周辺国の送電網への過大な負荷で

この記事の要約

欧州エネルギー規制連携庁(ACER)は23日、ドイツとオーストリアの電力取引を制限するよう両国に要求した。ドイツからオーストリアへの送電が現状ではポーランドとチェコを経由せざるを得ず、これら2カ国の送電網に過大な負担がか […]

欧州エネルギー規制連携庁(ACER)は23日、ドイツとオーストリアの電力取引を制限するよう両国に要求した。ドイツからオーストリアへの送電が現状ではポーランドとチェコを経由せざるを得ず、これら2カ国の送電網に過大な負担がかかっているためで、ポーランドからACERに要請があった。独墺の電力規制当局は送電網運営事業者と協議し、年内に対策をまとめ上げる予定だ。

ドイツは2011年の福島原発事故を受けて、再生可能エネルギーの普及加速に向けた「エネルギー転換政策」を導入した。これにより風力や太陽光で生産された電力が急増。余剰電力は低価格で国外に販売されている。特に、2002年から電力取引市場をドイツと共同化しているオーストリアはその恩恵が大きく、電力コストが年3億ユーロ節約されている。

だが、ドイツ国内の送電網の整備が遅れていることから、オーストリア向け電力輸出の多くはポーランドとチェコの送電網を通して行われている。これがポーランド、チェコ両国の送電網に過剰な負担となり、ブラックアウト(大規模な停電)のリスクが高まっている。

独墺間の電力取引が制限されると、オーストリアの電力料金は上昇する見通し。同国の経済界ではコストが数億ユーロ上昇するとの懸念が出ている。