化学大手の独BASF(ルートヴィヒスハーフェン)は28日、収益力の強化方針を明らかにした。市場環境は悪化しているものの、2016年から18年末までに利益を年10億ユーロ拡大する計画だ。
同社はこれまで、15~20年の世界の経済成長率を年平均3.2%と予想していた。だが、新興諸国の経済低迷や地政学リスク、石油価格の急落など市場環境が悪化したことを受けて今回3.0%へと下方修正。世界の化学生産成長率についても従来予測の同4.0%から3.9%へと引き下げた。
BASFはこれを踏まえたうえで、売上成長率で世界の化学生産成長率をやや上回る水準を確保する方針を示した。営業利益(EBITDA)の増加率については世界の化学生産成長率を大幅に上回る水準を目指すとしており、収益力を高める考えだ。
これら目標の達成に向けて新製品の開発と買収を通して競争力の高い製品を確保する。経営戦略に合致しない事業は放出する意向だ。
BASFは昨年10月、11年に打ち出した中期業績目標を撤回。15年に売上高で800億ユーロを確保するとした目標は実現できないとの見通しを示した。世界経済の先行き不透明感が強まったためで、EBITDAも従来予測の同14億ユーロから10億~12億ユーロへと引き下げた。