独ブレーキ部品メーカーのTMDフリクションは9月30日、ドイツの乗用車用一次部品事業の生産体制を再編すると発表した。レバクーゼン工場の生産をエッセン工場に移管し、当該事業の生産を集約する。エッセン工場には5,300万ユーロを投資し、工場を近代化・拡張する。生産の移転・集約は2017年末までに完了する予定。今回の措置は、銅使用規制に対応したものであり、生産およびコスト面における競争力を強化する狙いがある。
2015年末にエッセン工場では近代化・拡張工事の鍬入れを行う。2016年第3四半期には建物の工事が完了する予定で、2016年半ばごろから段階的に生産を移管していく予定。レバクーゼンとエッセンは距離が近く、レバクーゼンの従業員をエッセンに配置転換できる。また、レバクーゼンには今後もグループの管理機能のほか、アフターマーケット、研究開発、商用車および鉄道・産業事業を残す。
■ 銅規制に対応、コスト競争力強化
2011年にTMDフリクションを買収した日清紡ホールディングスによると、米カリフォルニア州では2021年から新車に装備するブレーキ摩擦材の銅含有量に上限を設ける規制が施行される。欧州メーカーでも一部車種ですでに銅規制対応材の採用が始まっているという。エッセン工場ではこの銅規制に対応した製品を生産するための最新設備を導入する。
また、乗用車用一次部品事業を統括するベルトホルト・シュリンゲ氏は、銅規制への対応に言及するとともに、多くの自動車メーカーがアジアやラテンアメリカに生産を移管する中で、生産の集約化によるコスト競争力の強化は避けられないと指摘する。2013年初めから様々な可能性を模索してきた結果、両工場の生産を全て国外に移管するか、国内に集約するかの選択肢しかなかった、と説明した。