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2011/6/24

企業情報 - 自動車メーカー

VWのMAN買収に逆風、監査役会の選出に影響も

この記事の要約

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)による独商用車大手MANの買収計画に暗雲がただよっている。MANのゲオルグ・パハタレイホーフェン社長がMAN株主に対し、買収提案に応じないよう勧告しているほか、23日付『フィナンシ […]

独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)による独商用車大手MANの買収計画に暗雲がただよっている。MANのゲオルグ・パハタレイホーフェン社長がMAN株主に対し、買収提案に応じないよう勧告しているほか、23日付『フィナンシャルタイムズ(ドイツ版)』によると、27日の株主総会でVWの取締役4人をMANの監査役会に選出するVWの計画について、米投資コンサルティング大手がMAN株主に反対するよう推奨している。

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VWは同社が筆頭株主であるスウェーデンの商用車大手スカニアとMAN、VWの商用車事業を統合した3社連合の構築を目指している。5月31日にはMANの株主に対し、現金で議決権1株当たり95ユーロ、優先株一株当たり59.90ユーロの買収案を提示した。買い取りの期間は5月31日~6月29日まで。

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MANのパハタレイホーフェン社長は19日付の独日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(日曜版)』とのインタビューの中で、VW、スカニアとの協力強化に意欲を示す一方、MANの株主に買収提案に応じないよう求めている。同社の取締役会と監査役会がそれぞれ調査した結果、VWが提案した価格は低すぎることが明らかになった、と理由を説明した。

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VWは、27日の株主総会でVWの取締役4人をMANの監査役会に選出する計画だ。VWのフェルディナンド・ピエヒ監査役会長はMANの監査役会長も兼任していることから、4人が株主の支持を得て選出されるとMANの監査役会8人のうち5人がVW出身者で占められることになる。機関投資家向けに議決権行使に関する助言やコーポレート・ガバナンス(企業統治)を提唱している米インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)はVWの計画について、VWの監査役候補者は独立性が大きく欠けていると指摘。MAN株主に賛成しないよう勧告している。

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VWはMANに議決権ベースで30.47%を出資しているが、VWによるMANへの買収提案を受けて27日は通常の株主総会に比べて株主の出席率が高まると予想されている。このため、VWが単独で過半数を獲得できる確立は低いと見られており、株主総会の動向に注目が集まっている。

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