欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/7/7

EU産業・貿易

規制確立まで仮想通貨の扱い回避、EBAが金融機関に警告

この記事の要約

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は4日、インターネット上でやり取りされるビットコインなどの仮想通貨に対する規制のあり方についてまとめた報告書を公表した。仮想通貨の保有や利用には大きなリスクが伴うとして、流通を監視する専門 […]

EUの欧州銀行監督機構(EBA)は4日、インターネット上でやり取りされるビットコインなどの仮想通貨に対する規制のあり方についてまとめた報告書を公表した。仮想通貨の保有や利用には大きなリスクが伴うとして、流通を監視する専門機関を設置したり、取引所の破たんに備えた消費者保護の仕組みを構築する必要があると指摘。そのうえで、規制の枠組みが整備されるまでの間、域内の金融機関は仮想通貨の取り扱いを避けるべきだと警告している。

世界で流通している約200の仮想通貨のうち、最も広く知られているのが2009年に運用が始まったビットコイン。ビットコインは国家の枠組みを超えた通貨として注目を集め、世界中から投資マネーが流れ込んだ結果、昨年12月には1ビットコインの価格が10万円を超えて1年前の約100倍に達した。

しかし、ビットコインの取引は匿名性が高く、マネーロンダリング(資金洗浄)など犯罪に悪用されるケースが増えてきたことから、中国政府は国内の金融機関に対し、ビットコインの利用規制を通達。これをきっかけにビットコインの価値は急落した。さらに、今年2月には最大の取引所だったマウントゴックスが経営破たんし、顧客から預かったおよそ6億5,000万ドルの資金が失われた。世界各国の金融当局はこうした動きを受けて仮想通貨への警戒を強めている。

EBAは仮想通貨には国境を越えて瞬時に送金でき、手数料もかからないなどの利点があるものの、マネーロンダリングなどの犯罪に利用されたり、ハッキングによって保有する仮想通貨が盗まれるおそれがあると指摘。利用者や取引所などに影響が及ぶ可能性として70以上のリスクを特定し、「利便性のメリットよりリスクの方がはるかに大きい」として、悪用を防ぐ仕組みや消費者保護のルールが確立されるまで、金融機関は仮想通貨の保有や売買を控えるべきだとの認識を示している。

欧州委員会のヒューズ報道官はEBAの報告書を受け、「仮想通貨がマネーロンダリングやテロ資金に悪用される事態を防ぐため、早急に対策を講じる必要がある」とコメント。仮想通貨の取引に伴うさまざまなリスクに対処するため、規制の枠組みについて検討を進めていると説明している。