欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/18

EU産業・貿易

中国当局の独禁法調査「警戒すべき事案」、EU商工会議所が異例の声明

この記事の要約

北京のEU商工会議所は13日、中国の独占禁止法当局が国内で事業展開する外国企業に対して「脅しの戦術」を使って処分の受け入れを迫っているとして、中国側の対応を批判する声明を発表した。中国当局はここ数カ月に、欧米や日本の大手 […]

北京のEU商工会議所は13日、中国の独占禁止法当局が国内で事業展開する外国企業に対して「脅しの戦術」を使って処分の受け入れを迫っているとして、中国側の対応を批判する声明を発表した。中国当局はここ数カ月に、欧米や日本の大手自動車メーカーやIT企業など幅広い業種の外国企業に対し、相次いで独禁法違反の調査を開始している。商工会議所の声明はこうした動きを受けたもので、会員企業から多くの「警戒すべき事案」が報告されているとして、外資を標的にした調査のあり方を強く批判している。

国家発展改革委員会は今月6日、独自動車大手フォルクスワーゲン傘下の「アウディ」、独ダイムラーの「メルセデス・ベンツ」、伊フィアット傘下の米クライスラーと日本の12社に対して調査を実施したことを明らかにした。中国市場で販売される新車や部品の価格を不当につり上げている疑いがあるとしており、このうちアウディとクライスラーの独禁法違反は「確実」で、近く処分を下す方針。メルセデスについては「調査中」としている。3社は制裁回避に向け部品の値下げなどを打ち出しているが、影響は多方面に広がっており、自動車業界は中国戦略の見直しを迫られる可能性もある。

EU商工会議所は声明で「中国当局が十分な聞き取りもせず、脅すようなやり方で企業に処罰の受け入れや改善策を押し付けた事例が数多く報告されている」と説明。企業に対して「異議を申し立てたり、聞き取り調査に弁護士を同席させたり、自国政府や商工会議所などを関与させたりしないよう」圧力をかけていると批判した。さらに、外資と地場系企業の合弁会社に関しては、外国企業だけが調査の対象になっているケースが多くみられるとし、「欧州企業は外資が偏った形で独禁法調査の標的にされていると受け止めている」と指摘した。