欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/10/13

総合 – 欧州経済ニュース

EU雇用サミット、若者の就業支援で一致

この記事の要約

EUは8日、ミラノで雇用サミットを開き、深刻化する若者の失業対策などについて協議した。ただ、雇用と成長の促進に向け財政規律の緩和を求めるイタリア、フランスと、歳出削減と改革推進を重視するドイツとの対立が鮮明になる中で新た […]

EUは8日、ミラノで雇用サミットを開き、深刻化する若者の失業対策などについて協議した。ただ、雇用と成長の促進に向け財政規律の緩和を求めるイタリア、フランスと、歳出削減と改革推進を重視するドイツとの対立が鮮明になる中で新たな対策を打ち出すことはできず、具体的な成果に乏しい会合となった。

イタリアのレンツィ首相の呼びかけにより開かれたサミットにはフランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相らが出席した。オランド大統領はEUとして今後6年間で200億ユーロを失業対策に拠出する案を提示、レンツィ首相も支持を表明したが、メルケル首相の同意を得ることができずに断念。最終的に若年失業者の就労支援に割り当てられた予算を速やかに有効活用することで一致した。EUは若者の職業訓練やインターンシップ、就職あっせんの充実を図るため、2015年までに64億ユーロを拠出することを決めているが、欧州委員会によるとこれまでに消化された予算は約12%にとどまっている。

欧州統計局によると、25歳未満の失業者数は8月時点でEU加盟28カ国では489万9,000人、ユーロ圏17カ国では333万2,000人にのぼる。欧州の景気には明るい兆しが見え始めているものの、スペインやギリシャでは若者の失業率が50%を超えており、雇用が最大の問題になっている。

サミット終了後にメルケル、レンツィ両首脳とともに記者会見にのぞんだオランド大統領は、雇用問題は「欧州にとって主要課題だ」と指摘。「次の世代に希望を示すことができなければ、人々は欧州に背を向けるだろう」と危機感を示した。