2011/8/31

コーヒーブレイク

ソ連懐古派が46%~ウクライナ

この記事の要約

今月24日にソ連からの独立20周年を迎えたウクライナで、ソ連の解体を残念に思っている人が46%にも上ることが、今年行われたアンケート調査で明らかになった。その多くは年金で生活するお年寄りだが、中には親の昔話を聞いてソ連時 […]

今月24日にソ連からの独立20周年を迎えたウクライナで、ソ連の解体を残念に思っている人が46%にも上ることが、今年行われたアンケート調査で明らかになった。その多くは年金で生活するお年寄りだが、中には親の昔話を聞いてソ連時代を賛美する若者もいる。

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キエフの人口研究所によると、年金生活者がソ連の復活を望むのは、現在の生活がソ連時代よりもずっと大変だからだ。ソ連時代の年金は高額でこそなかったが、食料品や衣類を買うには不自由がなく、貯金をして子どもを援助したり休暇に出かけたりする余裕もあった。医療サービスは無料で、薬の値段も安かった。

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これに対して、今のお年寄りは格段に厳しい生活を強いられている。1,400万人の年金生活者のうち、受給額が1,000フリブナに満たない人は90%に上る。これでは食料品と電気・暖房などの公共料金も満足に払えない。

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第2次世界大戦に従軍したキリーナさん(90)は、会話も歩行も不自由で、300メートル離れた店へ買い物に行くために片道1時間もかかる。しかし、当局に看護婦の派遣を申請しても無視されたという。「一人ぼっちで助けが要るのに、私のことを気にかけてくれる人は全然いない」と嘆く。

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ペトロさん(74)は息子の1人が失業中。「ソ連では職が見つからないなんてことはなかった。大学を卒業すれば就職できた。今はどうだ?就職口はない。工場は閉鎖された。いい若者が、家の裏に集まって朝から晩まで酒を飲んでいる。」と訴える。救急車の運転手として30年以上働いたが、年金は約900フリブナに過ぎず、ほとんどが公共料金で消えてしまうという。「店には品物があふれているが、買える人はほとんどいない。ソ連の年金は120~130ルーブルだったけれど、肉も着るものも買えたし、たまには海に遊びに行くこともできた」と回想する。

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人口研究所によると、ペトロさんと同じように感じている人は大勢いる。家族の誰かが稼いでいなければ、食は庭で育つ作物に頼るしかない。

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若者の中でもソ連時代を評価する声がある。親の思い出話を聞くと、生活が昔より厳しくなっているためだ。母親が教師のオレクサンドルさん(26)は、「教師の立場はソ連時代に比べて不安定になっている」と話す。「給料が安すぎるから教育は毎年悪くなるばかりだ。それに、だれでも参加できるようなサマーキャンプやスポーツクラブもない。2週間で3,000~5,000フリブナも払わなきゃならないキャンプじゃ、行ける子どもは限られている」と不満をもらした。

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それでも、オレクサンドルさんはソ連の復活を望んでいるわけではない。「ソ連が全部だめだったという考え方に反対なだけだ。良かったところは取り入れて、悪かったところは捨てればいい。ソ連が戻ってくることはないのだから」と、若者らしく、将来に目を向ける考えを語った。

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