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2011/10/19

ロシア

ユニリーバ、ロシア化粧品最大手を買収

この記事の要約

英蘭系日用品大手のユニリーバは14日、ロシア最大の化粧品メーカーであるカリーナを買収すると発表した。市場成長の見込める新興国での事業を拡大するとともに、主力の化粧品部門を強化する。\ ユニリーバはまずカリーナの株式82% […]

英蘭系日用品大手のユニリーバは14日、ロシア最大の化粧品メーカーであるカリーナを買収すると発表した。市場成長の見込める新興国での事業を拡大するとともに、主力の化粧品部門を強化する。

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ユニリーバはまずカリーナの株式82%を167億ルーブルで取得する。年内に手続きを完了し、残る株式に対して公開買い付けを実施する。全株式を取得した場合の取引総額は215億ルーブル(5億ユーロ)に上る。利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)の11.7倍で、市場関係者は「比較的高いが、ユニリーバの得る利益を考慮すれば、おおむね納得のいく水準」と評価している。

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ユニリーバによると、カリーナの買収により、同社はロシア化粧品市場でプロクター&ギャンブルに次いで2位につける。ヘアケア市場で22%、フェイスケア市場では33%のシェアを確保し、国内トップに浮上する。

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カリーナは1942年の創業。ロシアのほか、ウクライナやドイツで事業を展開し、昨年は純利益で前年の2倍以上の9億7,500万ルーブルを計上した。ユニリーバによると、今年は売上高が130億ルーブル(3億300万ユーロ)に達する見込み。エカテリンブルグに本社、工場があり、「ピュアライン」、「ブラックパール」、「シルキーハンズ」、「100レシピス・オブ・ビューティー」、「フォーレストバーム」などのブランドを擁する。

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ユニリーバは1992年にロシアに進出した。2008年にはアイスクリーム最大手のInmarko、09年には調味料メーカーのZAO Baltimoreを買収した。ロシアでの雇用数は7,000人で、投資残高は10億ユーロ弱に上っているという。

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ロシア化粧品市場の規模は推定90億米ドル。生活水準が向上するにつれて需要が拡大しており、09年に売上がやや縮小した後は10年に5.2%、11年上半期に13%の好調な伸びを示した。今後6年は年率5~10%の成長が見込まれる。

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■外資系企業、買収でロシア事業を強化

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今回の取引は、外資系の大手企業が優良ブランドを擁する国内トップ企業を買収して生産・販売体制を改善し、事業基盤を強化する流れを改めて示した。

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コカコーラは2010年9月にジュースメーカーのニダン・ジュースを買収。競合するペプシコは同年12月に乳製品・飲料大手ウィン・ビル・ダン(WBD)を取得した。

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投資会社のルネッサンス・キャピタルは、今後もこの傾向が続くとみる。買収対象としては、アルコール飲料のシナジー、シーフードのロシアン・シー、医薬品のファームスタンダード、流通のMビデオ、オーケイ(O’Key)、X5などの名をあげている。(1RUB=2.45JPY)

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