2012/1/4

ロシア

ロシアでバイオガスへの注目高まる、農業部門を中心に

この記事の要約

ロシアでバイオガス発電への注目が高まっている。エネルギー庁(REA)によると、国内ではすでに12施設が稼動し、今年末までにその数は最大40施設に増加する見通しだ。導入の主体は大手農業事業者だが、天然ガス世界最大手のガスプ […]

ロシアでバイオガス発電への注目が高まっている。エネルギー庁(REA)によると、国内ではすでに12施設が稼動し、今年末までにその数は最大40施設に増加する見通しだ。導入の主体は大手農業事業者だが、天然ガス世界最大手のガスプロムも事業立ち上げを計画している。

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農業事業体のバイオガス利用は、家畜の糞尿や植物性ごみ、食品加工における廃棄物など農業廃棄物を用いて電力と熱を生み出すものだ。エネルギーが自給自足できるほか、残った糞尿は臭いが少ない良質な有機肥料となり、化学肥料を購入する必要がなくなる。ロシアでは十年以上にわたる化学肥料中心の農業で耕地がやせており、農業専門家は、この点からもバイオガス発電は意義があるとみる。

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ロシアの農業界では、2009年にカルーガ郊外のドシノで初めて大型バイオガス発電施設が稼動した。昨夏には、食品加工大手モルタデルのメタン発酵施設がウラジーミル州で操業を開始。同施設は投資額400万ユーロで、年間100万立方メートルのメタンガスを生産する能力がある。設備はベルギーのユーロ・インダストリーズが納入した。

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ロシア南部のベルゴロド州はバイオガス利用を推進しており、固定価格買い取り制度(フィードインタリフ制度)の導入を検討中。サフチェンコ知事は昨年9月、長期的に州内の大型養豚場すべてにバイオガス発電施設を設ける意向を示した。農業事業体のアグロベルゴリアでは今年、出力2.4メガワットの発電所が完成する見通し。

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REAによると、バイオガス施設の整備では資金調達が障害となっている。工事に1年半かかるのに加え、資金回収期間が10年とロシアの常識からみると長いためだ。農業事業者に対する長期融資の実施や、フィードインタリフの導入で余剰電力を確実に販売できる枠組みをつくることがバイオガスの利用を後押しするとみている。

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バイオマス発電プロジェクト会社として国内最大手のビオガスネルゴストロイによれば、ロシアでは年間6億2,500万トンの有機ごみが発生する。これを電源とすれば、原子力発電所およそ100基分に当たる15万ギガワットを発電できる計算という。

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■ガスプロム、合弁事業で基本合意

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ガスプロムは2011年10月、ビオガスエネルゴストロイ、蘭ガス供給公社ガスニー、独農機製造会社アマツォーネのロシア子会社であるEurotechnikaと、バイオガスの生産と西欧への輸出事業で合弁会社を設立することで基本合意した。ガスプロムの推定によると、ロシアは潜在的に年間350億立方メートルのバイオガスを生産する能力がある。これはロシア天然ガス生産量の5%、輸出量の20%に当たる。ビオガスエネルゴストロイはロシアの生産能力を、ガスプロムの2倍の700億立方メートルと見積もっている。

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ガスプロムにとっては、パイプラインの稼働率を高めるほか、環境志向の顧客を新たに獲得できるという利点がある。

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