2012/3/28

ロシア

ロシア、ベラルーシ迂回のパイプライン稼働

この記事の要約

ロシア国営の石油輸送事業者であるトランスネフチは23日、新パイプライン「バルト・パイプライン・システム2(BPS-2)」の運営を開始した。ベラルーシやウクライナを通過するドルジバ・パイプラインを経由せずに国内港に石油を送 […]

ロシア国営の石油輸送事業者であるトランスネフチは23日、新パイプライン「バルト・パイプライン・システム2(BPS-2)」の運営を開始した。ベラルーシやウクライナを通過するドルジバ・パイプラインを経由せずに国内港に石油を送る狙い。バルト海に新設されたウスチルガ港から月末までにタンカー2隻を出港させ、港湾の機能が十分かどうかを確認する。

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BPS-2は輸送料と輸出関税をめぐる2007年のロシア・ベラルーシ紛争を機に計画された。西欧への安定した輸出路を確保する目的だ。これにより、ロシア領内のパイプラインだけで積み出し港まで輸送することが可能となる。

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全長はおよそ1,000キロメートルで、総工費1,000億ルーブル(26億ユーロ)をかけて整備された。当初の年間輸送能力は3,000万トン(日量60万バレル)だが、稼働初年となる今年は1,500万トンを見込む。

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ウスチルガ港はサンクト・ペテルブルグの西方130キロに位置し、完成すると国内最大の港になる予定だ。プーチン首相が実現に力を入れており、同港の石油ターミナルを所有する2企業の親会社である資源商社グンヴォル(Gunvor)のオーナー、ゲンナジー・ティムチェンコ氏は首相との親密な交遊関係がうわさされている。

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ウスチルガ港は昨年11月に当局が積み込み施設を検査した結果、ドック(船渠)のひびや、土木工事の未施工など、23の不備が見つかり稼働が遅れている。工事は気温が上がらないと実施できないため、当初の稼働はあくまでも試験的なものとなるようだ。

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トランスネフチによると、ロシアの原油輸出総量は増えない見通し。プリモルスク港やポーランドのグダニスク港からタンカー輸送している分をウスチルガ港に振り向ける形となる。

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