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2010/5/26

経済産業情報

欧州化学大手の業績回復進む

この記事の要約

化学業界の業績が急速に回復している。独経済紙『ハンデルスブラット』のまとめによると、欧州の大手化学メーカー13社の2010年1-3月期決算の営業利益(EBITベース)は計36億6,700万ユーロで、金融危機が起こる前(0 […]

化学業界の業績が急速に回復している。独経済紙『ハンデルスブラット』のまとめによると、欧州の大手化学メーカー13社の2010年1-3月期決算の営業利益(EBITベース)は計36億6,700万ユーロで、金融危機が起こる前(08年第1四半期)の9割弱の水準まで回復した。景気好転を受け需要が拡大したほか、業績悪化を受けて導入したコスト削減策で経営効率が高まったことが大きい。独Evonikや仏Rhodiaなど一部の企業では金融危機前のEBITをすでに上回っている。

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化学産業はほぼすべての主要産業に原料を供給しているため、景気の動向を敏感に反映するバロメーターと言われる。過去数カ月で特に回復が顕著な業界は自動車で、中国などアジアの新興国がけん引している。景気悪化による減産で顧客メーカーの在庫処理が一巡し、新規の注文が増加に転じたしたことも追い風となった。

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ただ、今後の見通しについては慎重な見方が強い。BASFのユルゲン・ハンブレヒト社長は「(今の回復は)景気対策によって人為的に需要を押し上げた結果に過ぎず、自力で回復したわけではない」と述べ、今後反動が出る可能性もあると発言。ノルトライン・ヴェストファーレン州立銀行(WestLB)のチーフアナリストは、ギリシャ財政危機に端を発するユーロの信任問題が足を引っ張り、下半期以降に成長が鈍化する可能性を指摘している。

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