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2010/6/9

経済産業情報

ディスカウントスーパー、缶飲料の販売再開

この記事の要約

強制デポジット制導入以来、店頭からほとんど姿を消していた缶入り飲料に復活の動きがでてきた。Edeka傘下のディスカウントストアNettoは7日、全国で缶ビールの販売を再開。Rewe傘下のディスカウントストアPennyもノ […]

強制デポジット制導入以来、店頭からほとんど姿を消していた缶入り飲料に復活の動きがでてきた。Edeka傘下のディスカウントストアNettoは7日、全国で缶ビールの販売を再開。Rewe傘下のディスカウントストアPennyもノルトライン・ヴェストファーレン州の店舗で近日中に缶入り清涼飲料水とビールを販売する予定だ。一方、ディスカウント1・2位のAldiとLidlはこれまでのところ追随の動きは見せていない。

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缶入り飲料は他国同様ドイツでも人気が高かったが、連邦政府が2003年、リサイクル容器利用拡大を目指してワンウェー容器入り炭酸飲料(ビール含む)に25セントの強制デポジットを課したことをきっかけに、引き取りの手間によるコスト増を嫌ったスーパーが販売を中止ないしは大幅に縮小した。『南ドイツ新聞』によると、缶飲料の流通量はそれまでの年80億本から05年には5億本へと激減した。販売量はその後持ち直してきているものの、『シュピーゲル』(オンライン版)によると09年でも7億5,000万本とデポジット導入以前の10%未満にとどまっている。

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Pennyは缶飲料の販売再開の理由として、◇容器の軽量化・省資源化が進んでいる◇ボトル入りに比べ場所をとらない◇積み重ねしやすい◇壊れにくい――といった輸送・流通上のメリットに加え、強制デポジット制の導入で容器の回収率が飛躍的に向上したことを挙げる。Pennyによると、90年代は36%に過ぎなかったワンウェー容器のリサイクル率が今では96%にまで上がっており、資源保護の点からも改善が進んでいる。また、缶は他の容器に比べ冷却時間が短いため、冷蔵コストを節減できるメリットもある。ただ、販売再開に踏み切った最大の理由は、「缶入り飲料を復活してほしい」という顧客の要望だったという。

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