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2010/6/9

経済産業情報

金融・経済危機で企業の銀行離れが進む

この記事の要約

金融・経済危機をきっかけにドイツ企業の銀行離れが進んでいる。リーマンショックをきっかけに銀行が融資条件を厳しくしていることや、一部の貯蓄銀行が中小企業向け協調融資のパートナーだった国外大手銀行を金融危機で失ったことなどが […]

金融・経済危機をきっかけにドイツ企業の銀行離れが進んでいる。リーマンショックをきっかけに銀行が融資条件を厳しくしていることや、一部の貯蓄銀行が中小企業向け協調融資のパートナーだった国外大手銀行を金融危機で失ったことなどが背景にある。銀行を対象とした国際的な自己資本比率ルールが厳しくなることも一因だ。企業は借入先の銀行を表だって批判することはないが、債務に占める融資の割合を減らすなど、銀行への依存度を下げる動きを強めている。5日付『フランクフルターアルゲマイネ』紙が報じた。

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独セメント大手のハイデルベルクセメントは昨年、英同業ハンソンを2007年に買収した際に受けた銀行融資について債権銀行団と借り換え交渉を行った。だが、約50行の債権銀行のなかには債務担保証券(CDO)で同社の貸し倒れリスクをヘッジしているところもあり交渉は難航。最終的には銀行団と債務借り換えで合意できたものの、同社はこれを教訓にその後は社債発行による資金調達に軸足を移した。すでに純負債98億ユーロに占める銀行借入金の割合を19%まで圧縮している。医薬品卸売・小売大手の独セレシオも「金融危機から導き出した結論」として、債務に占める銀行融資の割合を30%に半減させた。

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英RBSによると、企業の新規債務は昨年、その3分の2が社債発行によるものとなり、ユーロ導入後初めて、市場資金調達額が銀行融資を上回った。

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2004~08年にかけての世界的なM&Aブームの際、企業は銀行融資を大型買収に投じた。当時の融資の大半は近く、借り換えの時期を迎える。ドイツだけでもその規模は1,150億ユーロに上るといい、今後は資金確保に苦労する企業が増える恐れがある。

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