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2014/2/19

経済産業情報

欧州鉄鋼業界の苦境続く

この記事の要約

欧州の鉄鋼不況が長期化している。独鉄鋼業界団体Stahlのハンスユルゲン・ケルクホーフ会長は11日の業界会議で講演し、ユーロ危機などの影響で鉄鋼需要が縮小し市場価格が下落している一方で、原料・燃料価格の高騰と過剰な生産能 […]

欧州の鉄鋼不況が長期化している。独鉄鋼業界団体Stahlのハンスユルゲン・ケルクホーフ会長は11日の業界会議で講演し、ユーロ危機などの影響で鉄鋼需要が縮小し市場価格が下落している一方で、原料・燃料価格の高騰と過剰な生産能力を背景とするコスト圧力も高いと指摘。2014年はわずかに需要増が見込めるものの本格的な回復には至らず、ドイツ国内でもこれまでに引き続き大規模な人員削減が避けられないとの見方を示した。

ケルクホーフ会長によると、独国内の粗鋼生産能力は昨年160万トン削減され、業界就労人口も約1,000人減の8万7,300人に縮小した。14~15年の2年でさらに200万トンの粗鋼生産能力と最大2,000人の雇用が削減される見通し。これに対し墺鉄鋼大手フェストアルピーネのヴォルフガング・エーダー社長は「ドイツの粗鋼生産能力は現在5,300万トンに達しており、200万トンの削減では不十分だ」との見方を示した。

Stahlは14年の国内生産高が前年を60万トン上回る4,300万トンに拡大すると見込んでいる。ただ、欧州連合(EU)の欧州委員会が、独再生可能エネルギー法(EEG)に基づく賦課金の免除ルールを問題視し調査を開始したことは、懸念材料となっている。調査の結果次第では鉄鋼メーカーの財務負担が大きく増える恐れがあるためで、業界内では警戒感が強い。