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2014/2/19

経済産業情報

商品テスト財団の安全性の評価法を玩具業界が批判

この記事の要約

独玩具メーカーが独商品テスト財団Stiftung Warentest(SW)の実施する試買試験を批判している。独玩具製造業連盟(DVSI)は、SWは「現行規制と異なる独自の規格で試験・評価を行っている」と指摘。また、実際 […]

独玩具メーカーが独商品テスト財団Stiftung Warentest(SW)の実施する試買試験を批判している。独玩具製造業連盟(DVSI)は、SWは「現行規制と異なる独自の規格で試験・評価を行っている」と指摘。また、実際に起こりえない状況を想定した試験で安全性を疑問視する姿勢も問題だとしている。これに対しSWの関係者は「他の研究所でも採用している試験・評価法しか使っていない」と反論している。14日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

SWの試買試験は消費者の高い信頼を受けており、良い評価を受けた商品は「高品質のお墨付き」として絶大な広告効果がある。一方、同試験で不合格あるいは低い評価を受けると売上減などのダメージも大きい。低い評価を受けた製品のメーカーがSWを提訴することも少なくないが、SWは試験・評価の方法・手順をすべて証明できるため、メーカーが勝つチャンスは小さく、これまでは評価を甘受してきた。

風向きが変わったのはチョコレートの香料をめぐるSWと食品メーカーRitter Sportsとの争いだ。SWが「合成香料」と判断したことに対し、香料納入元のメーカーが天然香料であることを証明したため、SWは一審で敗訴した。

SWの厳しい評価に不満を抱えていた玩具メーカーはこれに勇気づけられた。SWのテスト誌(2013年12月号)で公表された玩具試験で、本体の内側に使われているゴムひもに芳香族アミン(有害物質)の含有量が多かったなどとして「かろうじて合格」(5段階評価で4.3、数字が高いほど評価が低く5が最低)の評価を受けたGollnest & Kieselもその1社だ。

同社の関係者は、当該の物質を含むゴム部品と接触するには、玩具本体を粉々に壊す必要があると指摘。製品の対象年齢である1~2歳の子供の力で壊すことは不可能で、「現実にありえない状況を想定して安全性を測ることは意味がない」と指摘。また、SWの測定値が自社データとあまりにかけ離れていることに疑問を持ちSWに追試を求めたところ、当該物質の含有量が「当初試験の半分以下」という数字が出た。同社はSWの委託で測定を行った機関を公表するよう求めたものの拒否されたという。