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2014/6/4

経済産業情報

13年の薬剤費支出7%増に=公的健保

この記事の要約

公的健保組合のBarmer GEKは5月27日、加入者に処方されている医薬品に関する実態調査レポートを発表した。それによると、同健保が2013年に支出した薬剤費は41億6,100万ユーロで、前年(38億920万ユーロ)を […]

公的健保組合のBarmer GEKは5月27日、加入者に処方されている医薬品に関する実態調査レポートを発表した。それによると、同健保が2013年に支出した薬剤費は41億6,100万ユーロで、前年(38億920万ユーロ)を6.9%上回った。既存薬とほとんど効果の変わらない新薬を処方せず、価格の安い後発医薬品の処方を増やす取り組みを徹底すれば、医療の質を落とさずに同支出を2億~2億5,000万ユーロ節約できたとしている。

加入者1人当たりの薬剤費支出額は男性が441ユーロ(7.3%増)、女性が467ユーロ(6.2%増)だった。想定薬物1日容量(DDD)は男性が18億5,300万単位(2.8%増)、女性が28億4,000万単位(3.0%増)。 

支出額が最も多かった薬剤は前年に引き続き「ヒュミラ」(リウマチ薬)で、1億1,000万ユーロに上った。2位以下は「エンブレル」(リウマチ薬、7,100万ユーロ)、「レビフ」(多発性硬化症薬、5,100万ユーロ)、「コパクソン」(多発性硬化症薬、5,100万ユーロ)、「アボネックス」(多発性硬化症薬、4,800万ユーロ)が続いた。

支出額上位30の処方薬のうちで、既存薬とほとんど効果が変わらない改良型新医薬品(ゾロ新)は「リリカ」(6位、てんかん薬)、「イネジー」(19位、コレステロール薬)など4種類だった。ゾロ新でないものの後発医薬品で置き換え可能な薬剤としては「サインバルタ」(17位、抗うつ剤)が挙げられている。

Barmer GEKは今回、バイエルの経口抗凝固薬「イグザレルト」に警鐘を鳴らした。上市以来、出血などの副作用、および副作用による死亡が疑われる例が報告されているにもかかわらず、処方が急増し、支出額ランキングで12年の44位から一気に7位に浮上したためだ。「安全性が十分に解明されていない」医薬品を、新薬というだけで既存薬より効果があると信じて安易に処方する医師の姿勢を批判している。