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2014/6/18

経済産業情報

ストによる運航の遅れは不可抗力、旅客の補償請求を最高裁が棄却

この記事の要約

フライトの運航が予定よりも大幅に遅れたとして乗客2人が欧州連合(EU)法に基づく補償金の支払いを航空会社にそれぞれ求めていた係争で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は12日、両原告の訴えを棄却する判決を下した […]

フライトの運航が予定よりも大幅に遅れたとして乗客2人が欧州連合(EU)法に基づく補償金の支払いを航空会社にそれぞれ求めていた係争で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は12日、両原告の訴えを棄却する判決を下した。判決理由で裁判官は、「異常な事態」が原因で運行が遅れた場合は補償が免除されるとした「航空旅客の権利に関する規則」5条3項の規定を指摘。原告が搭乗した旅客機の運航遅延はギリシャのゼネストと航空管制用レーダーの稼働停止が原因であり、ともに異常な事態に該当するとの判断を示した。

同規則をめぐっては、欧州司法裁判所(ECJ)が2012年、航空機の到着時間が3時間以上遅れた場合、やむを得ない理由による場合を除き、航空会社は乗客に補償金を支払わなければならないとする判決を言い渡した。原告はこの判決を踏まえて補償請求訴訟を起こしていた。

一方、同規則5条3項の「異常な事態」については定義が明確でないとして、航空会社や消費者団体などが明確化を求めたため、欧州委員会は昨年3月に改正案を発表。異常な事態とは「航空会社の業務の範囲を越えた領域におけるコントロール不能な状況」を指すとの判断を提示した。具体的には、予測不可能な自然災害や航空管制官のストライキなどを免責の要件として挙げた。今回の判決はこの判断に沿ったものと言える。