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2014/12/3

総合 - ドイツ経済ニュース

自動車産業都市に勢い=IW調査 VW城下町ヴォルフスブルクは向上度ランキング1位に

この記事の要約

財界系シンクタンクのIWドイツ経済研究所は11月27日、2014年版都市ランキングを発表した。製造業と研究開発が活発で雇用が安定している都市が上位を独占。向上度の高い都市のランキングでは自動車産業都市が存在感を示した。 […]

財界系シンクタンクのIWドイツ経済研究所は11月27日、2014年版都市ランキングを発表した。製造業と研究開発が活発で雇用が安定している都市が上位を独占。向上度の高い都市のランキングでは自動車産業都市が存在感を示した。

IWは人口10万人以上の都市を対象に毎年ランキングを作成しており、今年は69都市について調査を実施した。不動産市場(住宅価格・賃貸料など)、労働市場(失業率、就業率など)、経済構造(存続・新設・廃業による事業所数の変動、生産性など)、生活水準(託児所の定員数、転入・転出数、犯罪率など)の経済・社会的指標を基に評価を算定。労働市場に40%、経済構造に30%、不動産市場に20%、生活水準に10%の得点比重を置いてランキングを作成した。

向上度別にみた都市ランキングでは自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の城下町であるヴォルフスブルクが1位となった(表1を参照)。自動車工場のある都市ではインゴルシュタット(アウディ)が2位、ライプチヒ(BMW、ポルシェ)が4位、ブラウンシュヴァイク(VW)が6位、レーゲンスブルク(BMW)が7位と計5カ所がトップ10に入っており、独自動車産業の競争力の高さが反映された格好だ。このほか、化学世界最大手BASFの城下町ルートヴィヒスハーフェンも8位に付けており勢いがある。同ランキングの上位を占めるのは新製品への投資や研究開発が盛んな都市が多く、研究開発分野で得点が最も高いベルリンは5位に付けた(表2を参照)。

都市の水準別ランキングではバイエルンがこれまでに引き続き1位となった。不動産市場と生活水準で首位を獲得。経済構造と労働市場でもそれぞれ3位、4位と上位に付けた。(表3を参照)

2位はエアランゲンで、昨年の3位から上昇した。長期の失業者が極めて少なく高度熟練労働者の割合が高いことが大きい。フライブルクとカールスルーエは順位をそれぞれ8ランク上げてトップ10入りを果たした。

上位10都市のうち8都市は南部2州(バイエルン、バーデン・ヴュルテンベルク)が占めており、南部の経済力の高さがうかがわれる。両州以外では北ドイツのヴォルフスブルク(ニーダーザクセン州)が4位、金融都市で化学産業も盛んなフランクフルト(ヘッセン州)が7位に付けている。

東部州はハイテク都市イエナ、研究都市ドレスデン、ベルリンに隣接するポツダムが25位以内に入ったものの、経済構造の脆弱さが弱点となっており、上位に食い込む都市はなかった。

西部のノルトライン・ヴェストファーレンもデュッセルドルフ、ボン、ミュンスターが20位以内に入ったものの、総じて評価が低い。