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2015/2/25

経済産業情報

『我が闘争』がドイツで出版へ、戦後初

この記事の要約

独裁者アドルフ・ヒトラーの著作として悪名高い『我が闘争』がドイツで来年1月に出版されることが20日、明らかになった。著作権が今年末で失効することを受けて、ミュンヘンの現代史研究所(IfZ)が刊行する。 同書はミュンヘン一 […]

独裁者アドルフ・ヒトラーの著作として悪名高い『我が闘争』がドイツで来年1月に出版されることが20日、明らかになった。著作権が今年末で失効することを受けて、ミュンヘンの現代史研究所(IfZ)が刊行する。

同書はミュンヘン一揆に失敗したヒトラーが獄中で執筆したもの。第2次世界大戦後のドイツでは反ユダヤ主義の宣伝文書として出版が一切、禁じられてきた。

もとものはナチス系のフランツ・エーアー出版社が発行したもので、現在は独南部のバイエルン州が版権を持つ。

IfZは我が闘争の出版を以前から計画しており、バイエルン州議会は2012年、同出版事業に対し50万ユーロの助成金支給を決定した。だが、イスラエルから批判が出たことを受けて同州のゼーホーファー首相が助成方針を撤回。出版計画は宙に浮く恐れもあったが、同研究所は断念しなかった。

IfZが出版する我が闘争は2,000ページの大著となる見通しだ。そのうちヒトラーが執筆した部分は780ページで、残りは計5,000件に上る学術的な注釈などが占める。IfZは我が闘争の出版禁止が同書の「神秘化」につながり、好ましくないと判断。歴史家5人が執筆する詳細な注釈編をつけることで、同書の悪用を防ぐことにした。

我が闘争を注釈なしで出版することは来年以降も禁止される。国内16州の法相が昨年、そうした取り決めを行っており、無注釈の出版には大衆扇動罪を適用する方針だ。