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2015/7/22

経済産業情報

健康アプリ活用型保険を当局が警戒

この記事の要約

保険大手の伊ジェネラリが投入予定の健康アプリ活用型生命・医療保険にドイツの当局が警戒感を示している。プライバシー侵害のほか、消費者に不利益となることが懸念されるためで、連邦司法・消費者保護省のゲルト・ビレン事務次官は「最 […]

保険大手の伊ジェネラリが投入予定の健康アプリ活用型生命・医療保険にドイツの当局が警戒感を示している。プライバシー侵害のほか、消費者に不利益となることが懸念されるためで、連邦司法・消費者保護省のゲルト・ビレン事務次官は「最終的に社会の分断をもたらす要素が含まれていないかどうかを極めて批判的に調査している」と明言した。経済紙『ハンデルスブラット』が報じた。

ジェネラリは「バイタリティ」という名のアプリを活用した保険商品を来年上半期に独市場に投入する。これらの商品の被保険者はまず、自らの健康・フィットネス水準を測定したうえで、健康・フィットネス水準の目標を設定。目標の達成度に応じて割引やバウチャーを受け取ることができる。予防診断の受診やフィットネス向上に向けた取り組み、健康に良い食品の購入がプラス材料としてポイントに換算される。健康を促進する行動を被保険者に促し、健康水準を向上させる狙いだ。

司法・消費者保護省はこうした保険商品が普及すると、個人の健康に関するデータの提供を拒否する被保険者は保険料の高い商品しか選べなくなり、「実質的に個人データの提供を強制される」事態が生じかねないとみている。

アリアンツやアクサ、エルゴなど他の保険会社は当面、事態を見守る考えで、同様の商品投入は現時点で計画していない。