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2015/10/28

経済産業情報

オペル車にも排ガス不正の疑い、環境保護団体が検査結果公表

この記事の要約

ディーゼル車の排ガス値を米ゼネラル・モーターズ(GM)の独子会社オペルが不正に操作している疑いが浮上してきた。独環境保護団体ドイチェ・ウンヴェルトヒルフェ(DUH)は23日、オペルのミニバン「ザフィーラ」を対象に実施した […]

ディーゼル車の排ガス値を米ゼネラル・モーターズ(GM)の独子会社オペルが不正に操作している疑いが浮上してきた。独環境保護団体ドイチェ・ウンヴェルトヒルフェ(DUH)は23日、オペルのミニバン「ザフィーラ」を対象に実施した排ガステストで、試験モードによって窒素酸化物(NOX)の数値に極端に大きな隔たりがあることが確認されたと発表した。これまでフォルクスワーゲン(VW)グループの車両に限られていた排ガス不正が他のメーカーに拡大する可能性が出てきた。

DUHはスイス当局向けの検査を行うベルン単科大学排ガス検査室に検査を依頼した。対象とした車両は最新の欧州排ガス基準「ユーロ6」に対応した前輪駆動車「ザフィーラ1.6CDTi」。通常のテスト方式である前輪のみを回転させる検査ではNOX排出量がユーロ6の許容上限値(走行1キロメートル当たり80ミリグラム)を下回ったのに対し、4輪をすべて回転させた検査ではテストの種類により許容値の2~4倍のNOXが検出された。

不正が発覚したVWのディーゼル車は前輪のみを回転させる検査をソフトウエアが認識してNOXの排出量を抑制し、規制値をクリアしているように見せかけていたが、4輪すべてが回転する実際の走行では排出量が規制値を大幅に上回っていた。

ベルン単科大学排ガス検査室の報告書にはまた、前輪のみを一貫して時速150キロメートルで回転させた検査ではNOXの排出量が急増し、検査機の目盛りが振り切れたと書かれている。排気中のNOXを浄化する尿素SCRシステムが作動しなかったことを示唆するデータで、試験走行モードによって同システムの振る舞いが異なっている可能性が高いという。

今回の検査結果はザフィーラにもVW車と同じような不正ソフトが搭載されている疑いを持たせる。オペルはDUHの質問状に対し、排ガステストの走行モードを認識するようなソフトをGMグループは開発していないと回答し、容疑を否定した。

DUHは今後、オペル以外のメーカーのディーゼル車も検査する意向だ。ドイツ国内と国外のメーカーをともに対象にするとしている。