2010/3/17

コーヒーブレイク

デマ報道で大パニック~グルジア

この記事の要約

「ロシア軍が再びグルジア国内に侵攻した。サアカビシリ大統領は殺害され、野党のブルジャナゼを首班とする人民内閣が成立した」――。グルジアのテレビ局Imediが13日夜に流したこの放送で、グルジアの人々はパニックに陥った。携 […]

「ロシア軍が再びグルジア国内に侵攻した。サアカビシリ大統領は殺害され、野党のブルジャナゼを首班とする人民内閣が成立した」――。グルジアのテレビ局Imediが13日夜に流したこの放送で、グルジアの人々はパニックに陥った。携帯電話の通信網はパンク状態、ガソリンスタンドや銀行のATMには長蛇の列ができ、子どもを防空壕に避難させた親もいたという。

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だが、実はこの放送はデマ。アナウンサーは「グルジア最悪の日のシミュレーション」と断りを入れ、放送を流していた。それでも、放送中に放送がフィクションであると示すテロップもなく、市民の多くが放送を真に受けた様子。また「ガソリンスタンドやATMが人々で込み合っている様子を見て、何かが起きたのだと思った」(ロシア英字紙『モスコウ・タイムス』に対して回答したトビリシ市民)など、放送を見なかった市民にも騒動が拡大した。

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Imediはようやく14日午後になり、混乱を鎮めるため謝罪。サアカシビリ大統領は「不愉快な報道だ」としつつ、「さらに不愉快なのは、この報道内容が現実に起こりうる点だ」と述べ、同局を擁護する姿勢も見せた。

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Imediは副社長を元大統領府長官が務めるなど政権寄りで知られており、野党は「大統領の許可なしで、あんな放送はできない」と政府への非難を強めている。大統領は放送内容を事前に知っていたかについてコメントしていない。ロシアとグルジアは2006年から通商、国交を断絶したままだが、回復はまだまだ遠そうだ。

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