2012/3/7

総合・マクロ

ナブッコ企業連合、競合プロジェクトとの合併検討

この記事の要約

カスピ海地域の天然ガスをロシアを迂回して欧州に運ぶナブッコ計画を進める企業連合が、競合プロジェクトであるトランス・アナトリア・パイプライン(Tanap)を組み込んだ形で輸送ラインを建設することを検討している。輸送能力に見 […]

カスピ海地域の天然ガスをロシアを迂回して欧州に運ぶナブッコ計画を進める企業連合が、競合プロジェクトであるトランス・アナトリア・パイプライン(Tanap)を組み込んだ形で輸送ラインを建設することを検討している。輸送能力に見合う調達先の確保が進まない一方で推定投資額が膨らみ、実現が危ぶまれているためだ。Tanapと連結することでパイプラインの整備区間を大幅に短縮し、採算性を確保する方向とみられる。

\

Tanapはアゼルバイジャンのシャーデニス・ガス田からガスをトルコに輸送する目的で来年着工、2017年稼動が見込まれている。第2次開発計画の「シャー・デニズII」の生産開始にあわせて輸送を開始する。ルーマニアのニュースサイト「Punkt.ro」によれば、すでにアゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)がガス供給に同意している。

\

Tanapと連結すれば、ナブッコ・パイプラインはトルコ西部からブルガリアを経由して中欧のオーストリア・バウムガルテンまで敷設すればよいことになる。

\

ナブッコ計画は欧州連合(EU)の後援で進められてきたが、年間輸送能力310億立方メートルのうち調達が確保できているのは3分の1に過ぎない。推定投資額も当初の80~90億ユーロから150億ユーロに拡大しており、その採算性に疑問が浮上していた。ナブッコ計画に参加する独RWEはすでにTanapへの出資に関心を示していた。

\

ナブッコ計画にはオーストリアのOMV、ルーマニアのトランスガス、ハンガリーのMOL、独RWE、ブルガリアン・エナジー・ホールディング(BEH)、トルコのBotasが均等出資する。BotasはTanap計画にも資本参加している。(東欧経済ニュース2月29日号「ナブッコ計画、縮小も・天然ガス確保が難航」、2011年11月9日号「アゼル産ガスのパイプライン、企業連合が建設へ」を参照)

\
総合・マクロ
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |