2012/3/7

総合・マクロ

オーストリア政府、フォルクスバンクを部分国有化

この記事の要約

オーストリア政府が国内第4位銀行のフォルクスバンク(OeVAG)の株式40%を取得する。昨年度に12億ユーロの赤字を計上し、経営が厳しくなっている同行を救済する目的だ。これまで国有化しない方針を掲げてきたが、破たんを避け […]

オーストリア政府が国内第4位銀行のフォルクスバンク(OeVAG)の株式40%を取得する。昨年度に12億ユーロの赤字を計上し、経営が厳しくなっている同行を救済する目的だ。これまで国有化しない方針を掲げてきたが、破たんを避ける方法が他にはないと判断した。

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フォルクスバンクの株主は27日、中央銀行、金融市場監督庁および財務省との交渉を踏まえて部分国有化を承認した。増資を通じて国と、筆頭株主である62の独立系信用協同組合から各2億5,000万ユーロの資金注入を受ける。信用協同組合はこの追加投資により、過半数出資を維持する。

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フォルクスバンクは赤字補填に向けて70%の減資を予定している。結果として、政府が2009年に同行に付与した10億ユーロの補助金のうち最大7億ユーロが返済されない見通しだ。政府は金融業界にOeVAG救済費用の負担を求める考えで、昨年導入された銀行税を25%引き上げる方向だ。

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政府はすでにヒポ・グループ・アルペ・アドリア(HGAA)とコミュナルクレジットに救済措置を適用している。今回、フォルクスバンクに再度、救いの手を差し伸べたことで、同国金融業界に対する懸念が改めて強まる可能性が指摘されている。

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スタンダード&プアーズは先ごろオーストリアの政府信用格付けを引き下げたばかり。理由として同国の金融機関が中東欧事業で大きなリスクを背負っていることが指摘された。オーストリアの銀行の中東欧における貸付総額は2,250億ユーロに上っている。

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フォルクスバンクは東欧事業を中心に不良債権の評価替えで巨額の償却費を計上した。ギリシャ国債の償却も重荷となっている。

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