オーストリアの金融大手エルステ・グループのハンガリー子会社がこのほど発表した2011年通期決算で5億6,700万ユーロの純損失を計上し、過去最悪の赤字となった。トライクル最高経営責任者(CEO)は記者会見で、同国の経済環境や政治情勢が厳しいことから、今後2年間は赤字からの脱却は困難との見通しを示したが、「ハンガリーは当社の核事業のひとつ」と述べ、事業撤退は考えていないことを強調した。2014年の黒字化を目指し、事業体制の再編に取り組むとしている。
\ハンガリー事業の業績悪化にはスイスフランを中心とした外貨建てローンの救済措置が大きく影響した。自国通貨フォリントの下落により増大化した返済負担を軽減するため、実勢より低い為替レートでの全額返済を認めるルールが施行され、その差損が銀行に押し付けられる形となった。不良債権比率は前年の7.6%から8.5%に上昇し、今年もさらに上昇するが、貸倒引当金は大幅に減少し、全般的に業績が改善するとの見通しを示している。
\ハンガリー子会社のJelasity社長は、顧客預託金の拡大を図るため、利ザヤの大きい商品分野の事業を強化し、特に比較的若い顧客層を対象にした個人資産運用や貯蓄商品に注力するとしている。
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