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2010/3/17

ゲシェフトフューラーの豆知識

有給申請却下を理由に病欠は解雇

この記事の要約

年次有給休暇の取得申請を拒否されたことを受けて病欠した被用者の解雇の是非をめぐる訴訟で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は2009年3月、病気でもなかったにもかかわらず病休を取得すると主張したのであれば解雇に値するとする […]

年次有給休暇の取得申請を拒否されたことを受けて病欠した被用者の解雇の是非をめぐる訴訟で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は2009年3月、病気でもなかったにもかかわらず病休を取得すると主張したのであれば解雇に値するとする判決(訴訟番号:2 AZR 251/07)を下した。そのうえで、病休を取得すると予告した時点で実際に病気を患っていたかどうかの事実関係が解明されていないと指摘。前審のミュンヘン州労働裁判所に裁判を差し戻した。先ごろ公開された判決文で明らかになった。

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原告はバイエルン州内務省傘下の官庁に勤務する50代半ばの男性職員。勤務が立て込んでいたことを受け2005年5月24日、休養目的の有給休暇を同27日(金)に取得したいと申請した。前日の26日(木)は祝日だったため、27日に休みを取れば4連休となり、疲れをいやしやすいという事情があった。

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これに対し被告官庁Bが25日、緊急の業務がまだ大量に残っているとして申請を却下したところ、原告は「それなれば病休を取得する」と主張。同日中に医師の診察を受けて、25日~6月3日の10日間、勤務できないとする診断書(労働不能証明書)を取得した。原告が実際に病欠したことを受けBが即時解雇を通告したため、裁判となった。

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連邦労裁の裁判官は判決理由で、病気でないにもかかわらず原告が病休を取得すると主張したのであれば、信任違背に当たり即時解雇は妥当だとの判断を示した。

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【留意点】 ドイツの医師は労働不能証明書を安易に発行する傾向があり、患者が要求すれば通常は何らかの理由を付けて発行する。また、特に休養を必要としない場合でも医師の方から「証明書を出しましょうか」と言ってくることがある。

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