メタノール系燃料電池メーカーの独SFC Smart Fuel Cell(ブルンタール・ノルト)が事業分野を大幅に拡大する。電力網がない環境下でのエネルギー供給に関するトータルソリューション企業へと脱皮する考え。これに伴い経営陣は5月6日の株主総会で社名をSFC Energy AGへと変更する予定だ。同社のペーター・ポデッサー社長への取材をもとに7日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』が報じた。
\SFCは2000年設立の新興企業で、これまでは軍用と屋外レジャー用の燃料電池を手がけてきた。だが、事業の成長スピードは計画を下回っており、09年売上高は前年比約20%減の1,170万ユーロに落ち込んだ。不景気でレジャー用燃料電池を搭載するキャンピングカーの販売が落ち込んだほか、軍用プロジェクトも延期されたことが響いた。同社はこうした事態を踏まえ、事業基盤を大幅に拡大していく。
\経営陣が特に重視するのは航続距離の短さがネックとなっている電気自動車の分野。同社によると、車載バッテリーに燃料電池を接続すると◇電力供給網のない地域でも充電できる◇バッテリーの性能が落ちる寒冷な環境下では燃料電池の発熱作用で電池の性能低下を抑制できる――などの効果が期待できるという。同社は燃料電池とバッテリーを併用するシステムを今月開催のハノーバー国際産業技術見本市(Hannover Messe)に出展する予定だ。
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