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2011/6/1

経済産業情報

口座取引明細書の送料、銀行負担が原則=地裁

この記事の要約

セルフ端末で一定期間印刷しなかった口座取引明細書(Kontoauszug)を銀行が顧客に郵送した際の手数料負担をめぐる係争で、フランクフルト地方裁判所はこのほど、手数料を顧客から徴収するのは不当との判決を下した(訴訟番号 […]

セルフ端末で一定期間印刷しなかった口座取引明細書(Kontoauszug)を銀行が顧客に郵送した際の手数料負担をめぐる係争で、フランクフルト地方裁判所はこのほど、手数料を顧客から徴収するのは不当との判決を下した(訴訟番号:2-25 O 260/10)。これきっかけに、多くの銀行が口座明細の郵送に関する約款を見直すと予想される。

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係争の発端となったのはドイツ銀行の口座取引明細書に関する約款だ。同約款によると、過去30営業日間に店頭のセルフ端末で印刷しなかった顧客に対し銀行は明細書を自動的に郵送し、手数料1.94ユーロを徴収する。これに対し独消費者センター全国連盟(VZBV)は、「金融機関は原則として1カ月に1回以上、インターネット、セルフ端末、郵送などの方法で取引明細を顧客に知らせることが法的に義務づけられている。義務の履行にかかるコストを顧客に負担させることは不当だ」として、当該約款の無効を訴える裁判を起こした。

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フランクフルト地裁の裁判官は、「顧客が取引明細の追加送付を希望するなどの例外的なケースでは、銀行が顧客から手数料を徴収することが法的に認められている」と指摘。そのうえで、顧客が一定期間、セルフ端末まで来なかったことは郵送希望の明確な意思表示ではなく、例外的なケースに該当しないとして、手数料徴収は認められないとした。ドイツ銀が控訴しなかったため、判決は確定した。

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今回の判決を受けてドイツ銀行は同料金の徴収をすでに中止した。広報担当者は『南ドイツ新聞(SZ)』に対し、「(これまでに徴収した送付)料金の返還を求める顧客が大挙して押し寄せることはない」との考えを示した。

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同判決はドイツ銀の約款のみを対象としており、他の銀行は影響を受けない。ただ、他行の顧客も今回の判例を引き合いにして返還請求を求める可能性がある。SZ紙によると、コメルツ銀やTargobankがVZBVのやり玉に挙がっており、訴訟を回避するために自主的に料金徴収を廃止するもようだ。

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