欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2011/6/1

経済産業情報

スペイン産キュウリから菌検出も感染源は別

この記事の要約

毒性の強い腸管出血性大腸菌の感染者がドイツ国内で急増している問題は感染源が現在も特定されていない。ハンブルク衛生・環境研究所は5月26日、スペイン産のキュウリから菌を検出したものの、患者から検出されたO104とは別のタイ […]

毒性の強い腸管出血性大腸菌の感染者がドイツ国内で急増している問題は感染源が現在も特定されていない。ハンブルク衛生・環境研究所は5月26日、スペイン産のキュウリから菌を検出したものの、患者から検出されたO104とは別のタイプであることがその後の調べで判明した。感染者はこの間、欧州諸国のほか、米国でも発生しており、国際的な広がりを見せている。

\

同研究所はキュウリ4本から腸管出血性大腸菌を検出した。このうち3本がスペイン産だった。ハンブルク州のプリューファー・シュトルクス保健相は記者会見で、「(キュウリだけでなく)他の食品も感染源となっている可能性は否定できない」と述べ、引き続き検査を進める意向を表明していた。

\

腸管出血性大腸菌に感染すると、溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症し、最悪の場合、意識障害や急性腎不全で死亡する。ドイツでは5月2週以降、北ドイツを中心に感染が広がっており、HUSの患者数はこれまでに373人、死亡者数は15人に達した。

\

HUSの発生が確認されたドイツ以外の国はスウェーデン、デンマーク、フランス、オランダ、スイス、米国で、スウェーデンでは1人が死亡した。スペインでも感染した疑いのある患者が病院で治療を受けている。

\

ロベルト・コッホ研究所(RKI)は25日の時点で、トマト、キュウリおよびレタスなどの葉物野菜を当面、摂取しないよう注意を促した。緊急に実施した調査で、今回のHUS発症者はトマト、キュウリ、葉物野菜の摂取量がドイツ人の平均を大幅に上回っていることを突き止めたためだ。現在も注意を呼びかけている。

\

HUSの治療では米バイオ企業のAlexionが開発した発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の溶血抑制治療薬「ソリリス」が一定程度、有効なことがこの間、分かってきた。HUS治療への投与は本来、認められていないものの、抗生物質が効かないため、大学病院は試験投与を実施し、一部の患者で効果を確認した。

\