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2011/6/8

ゲシェフトフューラーの豆知識

整理一時金の減額、年金受給開始が近ければ妥当

この記事の要約

企業が人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その際、再就職のチャンスが低い高齢社員の整理一時金を上乗せすることは妥当な措置として一般平等待遇法(AGG)10 […]

企業が人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その際、再就職のチャンスが低い高齢社員の整理一時金を上乗せすることは妥当な措置として一般平等待遇法(AGG)10条で認められている。しかし、年金受給が間もなく始まる定年退職間近の社員、つまり再就職の必要性がほとんどない社員に対しても割増しの一時金を支給しなければならないのだろうか。ここではこの問題をラインラント・ファルツ州労働裁判所が3月に下した判決(訴訟番号:10 Sa 547/10)に即してお伝えする。

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裁判を起こしたのは社員900人の通販会社に勤務していた社員。同社は2009年9月、原告が働く部署を同年末日付で廃止することを決定した。労使はこれを受けて社会的計画を作成、計136人の解雇で合意した。

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原告は解雇当時60歳で、早期年金を受給できる年齢に達していた。被告企業はこれを踏まえて整理一時金を減額し、2万2,000ユーロを支給。これに対し原告は15万7,000ユーロが妥当な額だとして提訴した。

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第1審のマインツ労働裁判所は原告の訴えを棄却、第2審のラインラント・ファルツ州労裁も同様の判決を下した。判決理由で裁判官は、社会的計画は整理される社員の経済的な不利益を相殺する目的で作成されると指摘。年金受給を目前に控えた社員は解雇に伴う経済的な不利益が年下の社員よりも小さく、一時金の減額は妥当だとの判断を示した。

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