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2012/4/18

経済産業情報

誘電性エラストマー型人工筋肉の量産化に道

この記事の要約

人工筋肉の1つとして急速に関心が高まっている誘電性エラストマー型アクチュエーターを簡単に生産する新たな技術を、フラウンホーファー材料・ビーム技術研究所(IWS)などの共同研究チームが開発した。電極として従来使用されている […]

人工筋肉の1つとして急速に関心が高まっている誘電性エラストマー型アクチュエーターを簡単に生産する新たな技術を、フラウンホーファー材料・ビーム技術研究所(IWS)などの共同研究チームが開発した。電極として従来使用されている金属膜の代わりに、カーボンナノファイバーを添加したポリマーを用いるのがポイントで、伸縮の繰り返しによる電極のひずみやひび割れの問題が解決できるという。

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誘電性エラストマー型アクチュエーター(アクチュエーターは「動力を生み出す装置」の意)は、誘電性のエラストマーを2枚の電極板ではさんだもので、構造自体は単純だ。電圧を印加すると電場の方向には収縮し、垂直方向には膨張する。応答性に優れており、モーターに代わる動力源やセンサーへの応用などに向け、世界で研究が進められている。

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誘電エラストマーを製品化するうえで問題となるのは電極だ。従来使用されている金属はエラストマーに比べ柔軟性に乏しく、伸縮を繰り返すと剥離やひび割れを起こす。伸縮に対応する金属膜を積層することは可能なものの、コストと手間がかかる難点がある。

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こうした事情を踏まえIWS、ドレスデン大学などの研究チームは、エラストマーを電極として用いる技術の開発に取り組んだ。電極に同じ誘電性エラストマーを使えば柔軟性の問題は解決できるが、誘電体(絶縁性)にも導電体にもなるエラストマーは市販レベルでは存在しない。研究チームは試行錯誤の末、誘電性エラストマーとほぼ同じ伸縮性を持つ別のエラストマーに微量のカーボンナノファイバー(カーボンフィブリル)を添加することで導電性を持たせるというコンセプトにたどり着いた。同電極ポリマーで挟んだアクチュエーターは、数百万回伸縮を繰り返してもひび割れなどの劣化が起こらなかったという。

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