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2013/3/13

総合 - ドイツ経済ニュース

大口需要家向け送電料免除制度、欧州委が本格調査開始

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、ドイツで導入されている電力の大口需要家に対する送電網使用料の免除制度について、EUの国家補助規則に基づく本格調査を開始したと発表した。欧州委は予備調査を通じ、2011年に導入された同制 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は6日、ドイツで導入されている電力の大口需要家に対する送電網使用料の免除制度について、EUの国家補助規則に基づく本格調査を開始したと発表した。欧州委は予備調査を通じ、2011年に導入された同制度が特定の産業部門に対する実質的な国家補助に当たり、域内における公正な競争を阻害しているとの疑いを強めている。独経済省はこれに対し、大口需要家の優遇措置はEUで禁じられた不当な国家補助には該当しないと反論している。

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再生可能エネルギーの利用推進に力を入れているドイツは欧州で最も電気料金が高い国の1つだが、国内メーカーの国際競争力維持を目的に、電力消費量が特に多い鉄鋼、アルミニウム、石油化学、ガラス、セメントといったセクターを対象に送電網使用料を免除する一方、その他の産業分野や一般家庭に割増料金を課す制度が導入されている。欧州委によると、大口需要家に対する免除額はおよそ3億ユーロ(12年実績)に上り、その分が電力料金の値上げとなって中小企業や一般家庭に重くのしかかっている。

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欧州委には大口需要家に対する送電料の免除制度が導入された11年末以降、消費者団体などから多くの苦情が寄せられており、同委はこれを受けて国家補助規則との整合性について予備的な調査を行ってきた。今後は大口需要家に対する優遇措置が社会の共通利益という観点から正当化されるか、またその場合、市場競争に及ぼす悪影響よりメリットの方が大きいかどうかなどについてさらに詳しく調査を進める。

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ドイツ経済技術省の報道官はメディアの問い合わせに対し、同省は送電網使用料の設定や運用に関与しておらず、したがって大口需要家に対する免除制度は国家補助にはあたらないと強調。欧州委に対して1カ月以内に文書で回答すると述べた。

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