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2013/3/13

経済産業情報

独自動車3社がカーエアコン冷媒にCO2採用へ

この記事の要約

高級車大手の独ダイムラーはカーエアコンの冷媒に二酸化炭素(CO2)を採用する方針だ。当初は温暖化防止効果の高い冷媒「R12345yf」を採用予定だったが、衝突事故の際に引火する恐れがあるため、昨年9月になって従来の冷媒「 […]

高級車大手の独ダイムラーはカーエアコンの冷媒に二酸化炭素(CO2)を採用する方針だ。当初は温暖化防止効果の高い冷媒「R12345yf」を採用予定だったが、衝突事故の際に引火する恐れがあるため、昨年9月になって従来の冷媒「R134a」を引き続き利用する方針を提示。これが欧州連合(EU)の欧州委員会から批判されたことから、R12345yf同様に温暖化防止効果の高いCO2の採用に踏み切る。同社のトーマス・ヴェーバー取締役(研究開発担当)は6日、CO2の採用を競合のアウディ、BMW、ポルシェ、フォルクスワーゲン(VW)および独自動車工業会(VDA)と共同で進めたいとの意向を表明。VWとBMWは8日、CO2冷媒の採用方針を明らかにした。

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EUでは地球温暖化防止策の一環として、これまでカーエアコン用冷媒として使われてきた代替フロン(R134aなど)に代わり、地球温暖化係数(GWP)150以下の冷媒を使用することが11年から義務化された。独自動車メーカーはこれを受けて、米ハネウェルとデュポンが共同開発したR1234yfの採用を決めたが、同冷媒の製造拠点がある中国の規制強化で安定供給が遅れたため、昨年12月まで導入が猶予されていた。

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だが、同冷媒は従来の不燃性冷媒と異なり、わずかながら燃焼性がある。製造元は安全性を強調するものの、ダイムラーは独自に実施した衝突試験で引火性が確認されたとして同冷媒の採用中止を決定。新冷媒の使用で型式認定を受けた新型「Aクラス」「Bクラス」およびスポーツカー「SL」の3モデルで引き続き旧冷媒を使用している。

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新冷媒の導入猶予期間は昨年末で切れたため、ダイムラーは規定違反で多額の罰金を科され、最悪の場合、型式認定を取り消される可能性がある。同社はこうした事態を避けるために、CO2冷媒の採用に踏み切るもようだ。

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CO2冷媒に対しては独連邦環境庁(UBA)や全ドイツ自動車クラブ(ADAC)が支持を表明している。CO2冷媒の採用には技術・コスト面で問題があるものの、同社はクリアできるとみている。

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