欧州中央銀行(ECB)は7日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.5%から0.25ポイント引き下げ、過去最低の0.25%とすることを決めた。利下げは5月以来6カ月ぶり。ユーロ圏の景気回復の足取りが重いことに加えて、10月のインフレ率が急低下し、デフレの懸念が出てきたことから、予想外の追加金融緩和に踏み切った。
\ユーロ圏は4-6月期に7四半期ぶりのプラス成長となり、景気後退を脱した。しかし、銀行がなお弱体なことや、南欧を中心とする重債務国の財政緊縮策導入によって景気回復は力強さを欠き、失業率は過去最悪の水準にある。こうした経済環境が消費者物価を押し下げていることから、ECBのドラギ総裁は7月以降、必要に応じて追加金融緩和を実施する構えをちらつかせていた。
\10月末に発表された同月のインフレ率は前年同期比0.7%となり、前月の1.1%から0.4ポイント縮小。2009年11月以来4年ぶりの低水準となった。ECBが上限目標値とする2%を大きく下回る水準で、市場ではユーロ圏が日本のようなデフレに陥り、景気が再び悪化しかねないという懸念が強まり、ユーロ圏の中でもイタリアなどで再利下げを求める声が出ていた。
\ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏が日本のようなデフレに突入する可能性は否定しながらも、「低インフレの長期化」の懸念があると指摘。状況次第で再利下げに踏み切る用意があることを明らかにした。
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