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2013/11/27

総合 - ドイツ経済ニュース

独M&A市場で大型案件増える

この記事の要約

ドイツのM&A(企業の合併・買収)取引額は年初からこれまでに計820億ユーロに達した。件数は1,700件で、前年を下回るものの、大型取引が増加したことで取引額は40億ユーロ増加しており、明るさを増している。金融 […]

ドイツのM&A(企業の合併・買収)取引額は年初からこれまでに計820億ユーロに達した。件数は1,700件で、前年を下回るものの、大型取引が増加したことで取引額は40億ユーロ増加しており、明るさを増している。金融大手ゴールドマン・サックスが明らかにした。

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今年最大のM&Aは英電気通信大手ボーダフォンによるCATV独最大手Kabel Deutschland(KD)の買収で、取引額は110億ユーロに上った。昨年の最高は57億1,000万ユーロ(自動車大手フォルクスワーゲンによる高級車メーカーPorsche AGの買収)で、今年の半分にとどまる。まだ実現してはいないものの、医薬品卸大手の米McKessonが10月に打ち出した独同業Celesioの買収計画も総額が61億ユーロに上る。ドイツテレコムは売買仲介サイト子会社Scout24を米投資会社Hellman & Friedmanに約15億ユーロで売却予定だ。

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今年の独M&Aで取引規模が最も大きく伸びた業界は電気通信で、全体に占める割合は前年の18%から32%へと急増した(下のグラフ参照)。製造業は前年と同水準の19%。不動産はDeutsche WohnenによるGSW買収があったものの、シェアが19%から17%に低下した。原料と小売もそれぞれ19%から12%、7%から2%に下がっている。

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ドイツのM&A市場規模は07年に2,240億ユーロに達した。その後は11年まで減少が続いたものの、昨年は91億ユーロとなり、5年ぶりに増加へと転じた。

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市場は今後も成長が続くとみられている。国際法律事務所ホーガン・ロヴェルズの調査では国際的に事業展開する世界の企業240社の手元資金は計5兆6,000億ドルと10年前の約2倍に拡大しており、買収原資が潤沢なためだ。

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一方、ゴールドマン・サックスで独墺の投資銀行業務を統括するヴォルフガング・フィンク氏が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に語ったところによると、ドイツのM&A市場には最近、4つの傾向がある。1つは国境を超えた取引で、ボーダフォンによるKD買収やMcKessonによるCelesio買収のほか、中国企業ウェイチャイ・パワーによる独フォークリフト大手キオンへの出資(30%)が該当する。

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2つ目は事業提携や出資などを通して関係する企業の買収で、ノキアによるネットワーク機器合弁会社ノキア・シーメンス・ネットワークスの買収が代表的な例だ。

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3つ目は企業の事業再編に伴うもので、英投資会社AEA Investorsによるシーメンスの水処理事業の買収が当てはまる。このカテゴリーのM&Aの規模は09年に比べ70%拡大したという。

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4つめはプライベート・エクイティ(PE)などの投資会社による買収が再び増加していることだ。米投資会社Hellman & FriedmanによるScout24の買収は投資会社がドイツ企業を対象に今年行うM&Aのなかで規模が最も大きい。

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