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2014/4/9

経済産業情報

「現代自は多国籍企業行動指針」に抵触、独金属労組がに苦情

この記事の要約

独金属労組IGメタルは4日、現代自動車が経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針に違反しているとして、国内の連絡窓口であるナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)に苦情を申し立てたと発表した。従業員の代表機関で […]

独金属労組IGメタルは4日、現代自動車が経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針に違反しているとして、国内の連絡窓口であるナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)に苦情を申し立てたと発表した。従業員の代表機関である事業所委員会の活動を現代自が不当に妨害し続けているうえ、話し合いによる解決も拒否しているため、今回の措置に踏み切った。

現代自の独拠点はリュッセルスハイム(研究開発)、オッフェンバッハ(欧州統括と独販売)、フランクフルト(デザインセンター)にあり、従業員数は合わせて数百人に上る。IGメタルはリュッセルスハイムの拠点を対象にOECDに苦情を申し立てた。

事業所委員会(Betriebsrat)は法律に基づいて企業に設置される従業員の社内代表機関で、人事などについて共同決定権を持つ。リュッセルスハイムの拠点では4年前に設置されたが、現代自は同委に業務上必要な情報を与えず、共同決定権も行使できないようにしている。

事業所委は現代自が不当な行為を行うたびに裁判で争ってきた。その件数は約70件に上っており、IGメタルは「異常に多い」としている。経営陣はドイツの国内法を順守していると主張しており、両者の主張は平行線をたどったままだ。

IGメタルによると、現代自は東欧、アジア、米国など他の国でも従業員代表の活動を不当に抑圧している。国際労働団体インダストリオール・グローバルユニオンは3日、「従業員との間に現代自動車ほど多くの問題を抱える自動車メーカーはない」と指摘。同社は被用者の権利を軽視していると批判した。