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2014/10/8

経済産業情報

エーオンが州と国に損賠請求、原発停止命令で

この記事の要約

エネルギー大手の独エーオンは1日、国(連邦)とニーダーザクセン州、バイエルン州を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。福島原発事故直後の3カ月間、老朽化した原子力発電所の稼働停止を命じられたことで発生した損害の補償を求め […]

エネルギー大手の独エーオンは1日、国(連邦)とニーダーザクセン州、バイエルン州を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。福島原発事故直後の3カ月間、老朽化した原子力発電所の稼働停止を命じられたことで発生した損害の補償を求めている。競合RWEはすでに損賠訴訟を起こしており、追従した格好だ。

ドイツ政府は福島原発事故が起きた2011年3月、老朽化した国内原発7基の稼働を3カ月間、停止する方針を打ち出し、原発の監督権限を持つ各州に停止命令を要請。同7原発のあるヘッセン、ニーダーザクセン、バーデン・ヴュルテンベルク、バイエルンの4州はこれを受けて稼働の一時停止を命令した。

RWEはこれを違法として、同社が運営するビブリス原発に稼働停止命令を下したヘッセン州を相手取って行政訴訟を起こした。稼働一時停止命令を違法として提訴した原発事業者はRWEのみ。同社は、提訴しないと株主から損賠訴訟を起こされるとの理由で同行政裁判に踏み切り、1月に最高裁(連邦行政裁判所)で勝訴した。

RWEはこれを受けて8月、国とヘッセン州に対する損賠訴訟を起こした。計2億3,500万ユーロの支払いを要求している。

エーオンはこれまで、3カ月の稼働停止命令で損害が発生した問題を連邦政府との協議を通して解決しようとしてきた。だが、RWEが起こした行政訴訟で国と州が敗訴したことを受けて、協議を通した解決路線に対する株主の批判た高まったため、同社は今回、訴訟に踏み切ったもようだ。

具体的にはウンターヴェーザー原発(ニーダーザクセン州)とイザール第一原発(バイエルン州)の稼働停止に伴う損害の補償を求めている。