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2015/4/1

総合 - ドイツ経済ニュース

乗用車走行料金法案、一部修正で下院が可決

この記事の要約

ドイツの下院である連邦議会は3月27日、乗用車走行料金制度の導入に向けた法案を可決した。州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)は審議するものの拒否権がないため、来年から同料金が徴収されることになる。与党は今回、欧州連 […]

ドイツの下院である連邦議会は3月27日、乗用車走行料金制度の導入に向けた法案を可決した。州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)は審議するものの拒否権がないため、来年から同料金が徴収されることになる。与党は今回、欧州連合(EU)欧州委員会の疑義を踏まえて政府法案を一部修正して可決した。ただ、修正法案には欧州委の疑義が部分的にしか反映されていないため、同委はEU法違反として提訴する可能性がある。

乗用車走行料金は道路インフラ整備財源を強化する目的で導入されるもので、ヴィネット方式で徴収される。ヴィネットは料金前払いの道路利用券で、料金は排気量(100ccが課金単位)と排ガス性能(「ユーロ5」「ユーロ6」などと表記される欧州排ガス規制に基づく)および燃料の種類に基づいて課金される。

料金は年22~130ユーロ(電気駆動車とオートバイは免除)。国内で登録されている車両については料金が税金(車両にかかるインフラ税)で全額相殺されるため、新たな負担が生じない。

国外車両については1年間有効なヴィネットのほか、有効期間が10日ないし2カ月の短期ヴィネットも販売する。当初法案では10日ものの料金を一律10ユーロ、2カ月ものを同22ユーロとしていたが、欧州委は短期ヴィネットの料金に排気量や排ガス性能の違いが反映されていないのは国外車両への不当な差別に当たる可能性があると指摘した。与党はこれを受けて10日もので5ユーロ、10ユーロ、15ユーロの3料金を設定。2カ月ものでも16ユーロ、22ユーロ、30ユーロへと変更した。

欧州委は税金によるヴィネット料金の相殺ルールが国内登録車両にしか適用されないことについても間接的な外国人差別に当たる可能性があると懸念を伝えていたが、与党はこれについては修正に応じなかった。