オーストリア政府は10日、2018年5月から飲食店での喫煙を全面的に禁止する法案を発表した。今夏までに国民議会(下院)で議決される見通しだが、飲食業界からは集客に影響が出るとして反発の声があがっている。
オーストリアでは2009年から公共の場所での喫煙が禁止されているが、飲食店については面積が50平方メートル以上の店舗は分煙が義務付けられる一方、50平米以下の小規模店舗では喫煙が認められている。今回発表された法案が成立・施行されれば、すべての飲食店は全面禁煙となり、喫煙が認められるのは宿泊施設の喫煙ルーム内のみとなる。なお、禁煙対象には電子たばこも含まれる。
政府は全面禁煙への早期移行を促すため、2016年7月までに全面禁煙のための改装を実施した飲食店に対し特別手当を支給する方針を打ち出している。ただ、他の西欧諸国と比べ愛煙家が多く、カフェでたばことコーヒーを楽しむことがひとつの文化とされているオーストリアでは、飲食店での全面禁煙に反対する声も強い。AFP通信によると、オーストリア商工会議所は法案撤回を求めて憲法裁判所に提訴することを検討しているという。