2014/1/6

競争法

欧州裁が三菱電機・東芝の上訴棄却、送電設備カルテルに関与と認定

この記事の要約

欧州司法裁判所は12月19日、欧州委員会から送電設備のカルテルに参加したとして制裁を科された三菱電機と東芝が、同決定を不服として提訴した問題で、カルテルに関与しなかったとする両社の主張を退け、一審に相当する一般裁判所の原 […]

欧州司法裁判所は12月19日、欧州委員会から送電設備のカルテルに参加したとして制裁を科された三菱電機と東芝が、同決定を不服として提訴した問題で、カルテルに関与しなかったとする両社の主張を退け、一審に相当する一般裁判所の原判決を支持した。また、同問題で科された制裁金の減額を求めた独シーメンスの訴えも棄却した。

欧州委は2007年1月、三菱電機、東芝、シーメンス、仏アルストム、アレバなど10社に対して、発電所などの送電量を制御するガス絶縁開閉装置(GIS)の販売でカルテルを結んでいたとして、総額7億5,071万ユーロの制裁支払いを命令した。日本2社の制裁額は三菱電機が1億1,392万ユーロ、東芝が8,625万ユーロ。このほか両社は連帯責任として465万ユーロの制裁金を科された。

これについて三菱電機と東芝は、カルテルに加わった事実はないとして、制裁命令取り消しを求めて提訴。欧州裁の一般裁判所は2011年7月、制裁に関しては金額算定に誤りがあったとして無効としたものの、カルテルへの関与はあったと認定したことから、両社は上訴していた。

欧州裁が訴えを棄却したことで、両社のカルテル関与をめぐる訴訟での敗訴が確定したことになる。両社は声明で、今回の判決を「大変遺憾」としている。

一方、同カルテル問題で最大となる3億9,656万ユーロの制裁金支払いを命じられたシーメンスは、カルテルに関わったことは認めながらも、制裁が厳しすぎるとして減額を求めて提訴したが、一般裁判所は11年3月、制裁額は妥当する判決を下していた。同社は上訴したが、欧州裁は訴えを認めず、同制裁額が確定した。

なお、欧州委は12年6月、三菱電機と東芝への制裁を無効とした判決を受けて制裁額の算定方法を見直し、単独の制裁額を三菱電機で7,481万7,000ユーロ、東芝で5,679万3,000ユーロまで引き下げることを決めた。しかし、両社は減額を求めて12年9月に一般裁判所に提訴した。同訴訟は現在も継続中だ。