2010/8/4

ロシア

ロシア政府、外資誘致に努力

この記事の要約

ロシアは地域経済の活性化や新産業分野の育成を促進するため、外資系企業の誘致を積極的に行っている。税制上の優遇措置が受けられる経済特区の設立のほか、各自治体も独自の優遇策や投資障壁の撤廃により、企業誘致に取り組んでいる。\ […]

ロシアは地域経済の活性化や新産業分野の育成を促進するため、外資系企業の誘致を積極的に行っている。税制上の優遇措置が受けられる経済特区の設立のほか、各自治体も独自の優遇策や投資障壁の撤廃により、企業誘致に取り組んでいる。

\

政府は2005年に「経済特別区」の設置を決定した。特区の開発・運営を担当する経済特区株式会社のイゴリ・コソフ社長は、同社の使命を「迅速かつ円滑に投資を誘致すること」と説明。外国投資家であっても、賄賂を払ったり、煩雑な手続きにより長い時間を費やすことなく、特区に拠点を設立することができると強調する。特区には、「工業生産特区」「技術導入特区」「観光レクリエーション特区」「港湾特区」の4種類があり、それぞれ企業資産税、土地税などの免除や、法人税減税などの措置が受けられる。このうち工業生産特区は、西部のリペツク、タタルスタン共和国エラブガに設置されている。エラブガにはいすゞ自動車と双日、セベルスタリアフトの合弁企業や伊フィアットが、リペツクにはベルギーのスチールワイヤー世界最大手、NVベカルトが進出している。技術導入特区はサンクトペテルブルクのほか、モスクワ近郊の複数都市、ロシア中部のトムスク州に設置されている。メドベージェフ政権はまた、モスクワ近郊スコルコボに最先端産業を集積する「ロシア版シリコンバレー」の設立を決定、シスコシステムズやノキア、シーメンスといった大企業が参加を表明している。

\

自治体の間でも投資の誘致に積極姿勢がみられる。カルーガ州のアルタモノフ知事は外資の誘致に熱心なことで知られ、これまでにフォルクスワーゲン、PSAプジョーシトロエン/三菱自動車、ボルボ、ネスレなどの投資を獲得している。ただ、南部ボロネジ州では建設許可の取得に3年を要したり、西部スモレンスク州では賄賂が横行していると伝えられるなど、投資環境の整備が遅れている自治体が多いのが現状だ。一方で、外国投資家が汚職を告発できる専門部署を設置したタタルスタン政府のように、腐敗根絶に向けた動きも出てきており、今後の展開が注目される。

\