欧州委員会は22日、EUの財政規律に違反しているハンガリーへの制裁措置として、約４億9,500万ユーロの補助金支給を停止することを加盟国に勧告した。加盟国が承認すれば、財政規律違反では初の制裁発動となる。
\EUの財政規律を定めた安定成長協定では、各国に財政赤字を国内総生産（GDP）比３％以内に抑えることを義務づけている。ハンガリーは2004年にEUに加盟してから、恒常的に赤字が上限を超過。昨年は黒字に転じたが、これは民間年金基金の国有化という一時的措置によるもので、実質的にはGDP比６％の赤字だった。このため、欧州委は構造的な財政問題が解消されていないとして、制裁勧告に踏み切った。
\ハンガリーはユーロに参加していないため、欧州委は制裁金の支払いではなく、補助金停止の形で制裁を科す。支給を停止するのは、「結束基金（コヒージョン・ファンド）」と呼ばれる構造改革向け補助金。各国の経済発展が遅れている地域のインフラ開発などを支援するものだ。欧州委は2013年にハンガリーに交付する予定だった同補助金を29％（４億9,518万4,000ユーロ）減額することを提案している。ハンガリーのGDPの0.5％に相当する規模の制裁となる。
\これまでEUでは、財政規律違反に制裁を科したことはなかったが、こうした甘い体質がギリシャに端を発したユーロ圏の債務危機を引き起こした反省を踏まえ、昨年末に安定成長協定を改定。欧州委の制裁勧告に加盟国の過半数が反対しない限り制裁発動が決まるという「逆多数決」方式が新たに採用された。このため、加盟国が財務相理事会で制裁を承認するのは確実な情勢だ。
\ハンガリーは年内に適切な赤字是正措置を講じれば、制裁発動を回避できる可能性がある。欧州委のレーン委員（経済通貨問題担当）は、「補助金停止が実施されるかどうかは、ハンガリー政府次第だ」と述べた。
\ハンガリー首相府の報道官は、一時的措置とはいえ昨年に財政規律を遵守したことを強調し、欧州委の決定を「理解しがたい」と批判しているが、政府は制裁回避に向けて財政再建強化を迫られることになりそうだ。
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