チェコ企業が税制の緩い外国に籍を移す傾向が強まっている。金融調査会社のCEKIAによると、「タックスヘイブン(租税回避地)」に拠点を置く企業の数は昨年、1万1,752社となり、過去6年間で60%増加した。その動機については資金洗浄といった犯罪的なものだけでなく、税負担軽減や法的枠組みの安定を求めてのことという見方もある。いずれにしても歳入不足に悩む政府や、チェコ経済にとっては悪いニュースといえよう。
\CEKIAによると、タックスヘイブンに拠点を置く企業は、複雑な手続きによりオーナーを隠している。資金洗浄や汚職の隠れ蓑(みの)となっており、全体を把握するのは難しい。このため、調査で明らかになったのは氷山の一角という。
\国別では、オランダ(4,501社)、キプロス(1,705社)、ルクセンブルグ(1,192社)の人気が高い。中でもキプロスは前年比10%の増加を示し、上位国としての地位を固めた。
\伸び率ではセーシェル諸島(+25.45%)、ケイマン諸島(+18.75%)、ベリーズ(+13.25%)が上位につけた。
\オランダは特に税制に抜け穴が多い。外国子会社からの金利、ロイヤリティ、配当、資本利得(キャピタルゲイン)収入に対する軽減税率で企業をひきつけているという。
\一方で、会計事務所ホワイト&ケースのパートナーであるフラヴァーチェク氏は、「これらの欧州諸国は所得税を徴収しており『タックスヘイブン』ではない」と主張する。株式資産から得られる配当や、資産売却益など一部の所得を非課税にしているだけであり、チェコ企業がこれらの国々に拠点を移すのは、チェコ税法が頻繁かつ大幅に改定されるためと説明する。
\その根拠としてフラヴァーチェク氏は、国際投資保護条約の存在を挙げる。オランダとの条約では、法改正による事業環境の大幅な変化による損失の補償が盛り込まれている。チェコ政府が昨年、ソーラー発電助成を急に縮小したことはこの「事業環境の大幅な変化」に当てはまり、実際、オランダで登記している企業の中には、チェコ政府に損失補てんを求めて提訴しているところもあるという。
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