2015/1/14

総合・マクロ

ウクライナに18億ユーロの追加支援、欧州委が表明

この記事の要約

欧州委員会は8日、財政危機が深刻化しているウクライナに対して、最大18億ユーロの追加金融支援を行うと発表した。ウクライナは親ロシア派武装勢力との紛争で経済が疲弊しており、欧州連合(EU)の追加支援で同国が債務不履行(デフ […]

欧州委員会は8日、財政危機が深刻化しているウクライナに対して、最大18億ユーロの追加金融支援を行うと発表した。ウクライナは親ロシア派武装勢力との紛争で経済が疲弊しており、欧州連合(EU)の追加支援で同国が債務不履行(デフォルト)に陥らないようにする。欧州議会とEU閣僚理事会の承認を得て支援を実施する。

欧州委によると、EUはウクライナに対し14年に13億6,000万ドルの「マクロ金融支援(MFA)」を実施しており、今春には同枠組みの残り2億5,000万ドルが支払われる予定。今回打ち出した追加策はMFAプログラムの第3弾で、2016年初頭にかけて実施される見通しだ。欧州委のユンケル委員長は声明で「ウクライナは孤立していない。EUの行動は言葉より雄弁だ。追加支援はウクライナに対する連帯を行動で示すものだ。ウクライナ政府が改革を実行し、国家と国民に真の変化をもたらす手助けをしたい」と述べた。

欧州委は国際通貨基金(IMF)による新たなウクライナ向け支援の実現が追加支援の条件になると説明。そのうえで、ウクライナ政府は確実に改革を実行しなければならないと強調し、徹底した歳出削減、エネルギーおよび金融セクターの抜本的な改革、全体的なマクロ経済運営の改善を最重要項目に挙げた。さらにビジネス環境を改善するため、司法制度改革や汚職対策の取り組みを強化する必要があると指摘している。

ウクライナでは東部で国軍と親ロシア派武装勢力の戦闘が長期化し、主要工業地帯への影響が深刻化している。ウクライナ中央銀行によると、14年の国内総生産(GDP)は実質で7.5%縮小したもよう。また、通貨フリブナは対ドルで過去1年間に価値がほぼ半減し、昨年12月末時点の外貨準備高も99億6,000万ドルと、04年以降で初めて100億ドルを割り込んでいる。