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2010/2/3

経済産業情報

白色LEDの性能・製造コスト改善へ=ナノコラムのEUプロジェクト

この記事の要約

独発光ダイオードメーカーのOsram Opto Semiconductorsが主導する産官学の国際チームが、柱状窒化ガリウム微細構造(GaNナノコラム)による高輝度白色LEDの開発を進めている。GaNナノコラムの形状の制 […]

独発光ダイオードメーカーのOsram Opto Semiconductorsが主導する産官学の国際チームが、柱状窒化ガリウム微細構造(GaNナノコラム)による高輝度白色LEDの開発を進めている。GaNナノコラムの形状の制御や、発光色を変えるために添加するインジウム量の最適化などの研究を通し、LEDの発光効率や演色性の改善、製造コストの引き下げを図る考えだ。

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GaNは主に青色発光ダイオード(青色LED)の材料として用いられる半導体で、少量のインジウムを添加することで紫外~緑色までの広範囲の発光色をコントロールできる。また、紫外LED、青色LEDと蛍光体を組み合わせることで白色光を合成することも可能だ。

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GaN系半導体は主にサファイア基盤の上に積層する手法で形成されているが、◇サファイア基板が高価なため製造コストがかさむ◇演色性(物体を照らした時に、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質)が低く、生活照明としては不十分――という難点があった。また、安価なシリコンを基板に用いても、結晶構造が大きく異なるためひずみができてしまい、GaN層をうまく作成できない問題があった。

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近年の研究の結果、直径100ナノメートル、高さ数マイクロメートルの柱状結晶にするとシリコン基板上でもGaN半導体を成形できることが明らかになり、低価格化の実現に近づいている。ただ、現在の技術では形成されたナノコラムの太さや長さが不均一なため、品質を向上させるには形状を制御する技術の開発が欠かせない。自然光により近付けるために、インジウムを添加したGaN(InGaN)の結晶構造やGaNとの積層法を改善することも大きな課題だ。Osramを中心とする産官学チームはこれらのテーマに取り組んでいる。

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今回のプロジェクトは欧州連合(EU)の第7次研究枠組み計画(FP7)の一環。Osramのほか、伊ローマ大学、独カッセル大学、仏CEA-LETI Minatec、英バース大学、Obducat Technologies AB(スウェーデン)、International Laser Centre(スロバキア)など計7カ国の14機関が参加している。

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