スイスの製薬大手Roche(バーゼル)が販売するがん治療薬「Avastin」の薬効に疑問を投げかける鑑定書をドイツの公的健保系医療情報サービス機関(MdK)が作成した。今後の成り行き次第では公的健保の適用対象から外される恐れもあるという。同薬の世界売上高は昨年42億ユーロと大きく、同社は神経をとがらせている。同鑑定書を入手した『ハンデルスブラット(HB)』が3日付で報じた。
\鑑定書を作成したのはバーデン・ヴュルテンベルク州の公的健保のMdK。がん治療に関する定期調査を行ったところ、Avastinが大腸がん、乳がん、肺がん、腎臓がんでこれといった薬効を上げていないことが分かったという。鑑定書には同薬を月5,000ユーロもかけて投与する価値はないと明記されている。
\HB紙によると、鑑定書の提出を受けたドイツ医師会医薬品委員会は同様の見解を持つに至ったという。医薬品を公的健保の適用対象とするかどうかの決定権を持つ医師・健保連邦共同委員会(GBA)のライナー・ヘス委員長は同紙に対し、Avastinの薬効を同委で調査することを明らかにするとともに、公的健保の適用外とする可能性もあると明言した。
\Rocheは同薬の効果は4万人以上の患者の治験で裏付けられているとして、批判を退けている。
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